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ダイブ・イントゥ・ゲームズ ~ぼっちなコミュ障、VRゲーム始めました~  作者: 赤鯨
正義、時々、悪。いざ……転身! ~Destiny Blood~
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祭りは終わり、ヒーローは休む

後日談的なものと次のゲームへの導入です。

次の章に入れるか迷いましたけど、とりあえずデスブラ編に入れときます。

プルルルル、プルルルル。


「……ん?赤からだ、珍しいな。もしもし、君の数少ない友達の青山だけど?」


「ラオシャン来て」


ぷつっ。ツー、ツー……


「だいぶ感情の無くなった声だったけど、どうしたんだろう……?」








「はぁ……なるほど。それでトップランカーに気に入られてずっとデスブラについて語られまくったってわけね。ご愁傷様」


「……マシンガントークとか言うけどさ、1マガジンの装弾数が死ぬほど多い上にリロードが一呼吸しかないチート武器だよ……」


冷たい水の北の海。シャチが二頭ぷかぷかと浮かびながら話し合う。


「まぁでもいい人なんでしょ?その……アジサイさん?だっけ?」


「……うん。いい人、いい人なんだけどなぁ……」


俺は若干虚ろな目になりながら、昨日の出来事を思い出す。





~Destiny Blood ヒデオシティ~


JEABDとデスパレードの垣根を超えてプレイヤーとして交流するための場所、ヒデオシティ。どこか見覚えがある街だと思っていたら、広場や建物のデザインが戦場となる街と同じだったりする。スクランブル交差点にある大きなビルに取り付けられた超大型ディスプレイには、現在対戦中のプレイヤーたちの雄姿が映されている。

そこらを行きかう人々は、当然NPCもいるが殆どがプレイヤー。フレンド同士で駄弁ったり、ランダムマッチで知り合った人と意見交換したりとやっていることは様々だ。


そんな賑やかな街の一角で、俺はド派手なアロハを前全開にして羽織った全身傷まみれのドチンピラと向かい合うようにして、カフェ的な店の外にあるテーブルについている。


「赤信号さんの戦い方は素晴らしいと思います。確かにまだまだ粗削りなところはありますけどね、まずシャチというモチーフを見た時に大概の人はアタッカーかディフェンダーだと思うんですよ勝手なイメージですけどね?ちょっとほっそりした体つきとか見ればシューターかなと思う人もいるでしょうけどそもそもビーストでシューターしている人は少ないので無意識にそんなわけないと思っちゃうんです。そこでまさかのスタンとノックバックの乱れ撃ちですよ!意表を突かれた相手は必ず焦るでしょうね、そして近づいたところで必殺のカウンター!シューターだって近接用のアーツはある、それを拘束力はあっても威力の低い飛び道具で相手をイラつかせて思考から除外させる。タイプとスタイルのマイナーな組み合わせを生かし切ったいい作戦です!!」


「は、はぁ……」


丁寧かつ早口で興奮気味に喋る外見と中身にギャップがあり過ぎるこの人はアジサイ。さっき俺と試合をして勝ちを取っていった人であり、ビーストタイプ最強の称号を持つGTレクスのプレイヤーだ。


そんなトップランカーがクッソ早口でさっきから俺のことを褒め殺してくる。何なんだこの人は。テンションの高さヤバくないか?


「いや本当にビックリしました、特にあのカウンターのタイミング。これ以上ないくらいに綺麗にしてやられましたよ、一瞬本気で何が起こったのかと思いましたからね!そしてそこで私は思うんです、赤信号さんはもしかしてアタッカーの方が向いてるんじゃないかと!いやいやいや言わなくても分かります、あの素晴らしい戦いはサードオルキヌスがシューターであったからこそですよね?ええもちろん理解していますとも!それを承知で言わせていただきたい、あのカウンタータイミングを見切る眼は近接戦を本分とするアタッカーでこそ真価を発揮すると!もういっそぶっちゃけますけどゴリゴリのアタッカーチューンをしたサードオルキヌスと殴り合いたいんですよ!」


「そ、そうですか……」


「いやカッコ良すぎるでしょう赤いシャチとか!もうそのままデスパレードにいてもおかしくないくらいの完全な海の魔物じゃないですか!転身後の魔人を見た瞬間にテンション爆上げでしたよ私は!しかも王と王、陸と海、爬虫類と哺乳類、粗暴さと冷静さ!ビックリするほどGTレクスと対照的なキャラクターで運命さえ感じましたね!話は戻ってバトル中のことですけど、最後サードオルキヌスが必殺技カウンターを出したあとの殴り合い、あれ作戦としてもロールプレイとしても最高です!シューターが殴り掛かってきているのに迎え撃たないなんてアタッカーとしてのプライドが許しませんし、『技を出し尽くした後に素手で殴り合う』なんてお約束中のお約束、最高に盛り上がるに決まってます。最後は勝たせてもらいましたけど、私なんて熱くなりすぎてBPあるのに必殺技を使うのすっかり忘れてましたからね!おっと勘違いしないでください、別に舐めプしていたわけではありませんよ?ロールプレイで挑発したり相手をノせたりしてゲームの流れを支配することが得意なプレイヤーもいるくらい、デスブラにおいて相手を『自分の世界』に引き込むというのは立派な戦術なんです。つまり私がなにを言いたいかというとですねグッドゲーム!!ああこれだからやめられないんだデスブラは!!」


「お、おう……」



そしてこの後もまだまだ話は続いた。悪役のロールは意外とアドリブが効かなくてぶれることが多いとか、フレイムマスターを相手取る時は突進技やその辺の瓦礫をぶん投げるのが有効だとか。その他にもためになったりならなかったりする話をこれでもかと聞かせてもらった。


幸いだったのは、アジサイさんは止まることなく喋り続けるけど、俺の方にむやみやたらと意見を求めることが殆どなかったことだ。

普通なら一方的に喋り続けるのは失礼にあたるのかもしれないが、俺にとってはむしろありがたかった。このスピードと情報量でこっちに話を振られたら俺は確実にフリーズする。もしくはオーバーヒートする。


何のかんのといい人っぽいし、無茶苦茶喋るアジサイさんと殆ど喋らない俺。GTレクスとサードオルキヌスとはまた違うけど、対照的な二人でそれはそれでいいだろう。



「そうですか……赤信号さんはデスブラ中心ではないんですね。残念ですけど、プレイスタイルやゲームの楽しみ方は人それぞれというやつですよね」


アジサイさんはさすがはランキング一位になるような人と言おうか、ゲームは殆どデスブラだけ。他には息抜き程度に軽いゲームを嗜む程度と言っていた。その辺も俺とは違う所だろうか。

俺の場合、デスブラしつつ実はもうとっくにドラスレにも復帰していたりするしな。なんだかんだでもうデスブラやり始めて2週間たってるし、このゲーム楽しいんだけど割と疲れるんだよ。ガッツリやるって言っても10連戦もしたら海に行きたくなる。平日だと5戦もしたら十分満足だ。



「では、いつでもフレンド戦の申請をくださいね。そしてまた陸と海の王者対決しましょう!」


そういってにこやかにアジサイさんは去っていった。なんと言うか嵐のような人だった……。







「まぁそんな感じでな。いい人なんだけどなんか疲れる」


ぶしゅーと気の抜けたように頭頂の鼻から潮を吹く。自分では見えないが、たまにこの吹いた潮に虹がかかる。

何で分かるかって?なんかそういう実績が解放されたからだよ、自分で見えないのに虹がかかったとか言われたらスゲェ気になるじゃんかよ。


「あっははは!濃ゆい人と知り合ったもんだね、それは誰かに言いたくもなるか。ああ、そう言えばドラスレの方も進めてるんでしょ?今どんな感じ?」


「あー……ヤマトのソロツアー終わった。そんなに長くなくて、最後は八大龍王じゃなくてキバガミの特異個体。デカいし速いし単純に強かった、20回くらい負けたか?とにかく一段落はした」


クソワンコがデラックスクソワンコになって帰ってきやがったんだよな。マジでさぁ、デカい奴を跳ね回らせるのやめろっつーの。

ちなみにヤマトにソロで入国できるということはネットでちらほらと流れ始めたらしい。今のところは詳しい入国方法は明かされておらず、自分で確かめろという風潮みたいだけど。ま、そのうちバレるでしょ。人の口に戸は立てられないし。


「へぇー。じゃあデスブラ続けるの?それとも別ゲー?赤が最近IRに来てくれないってきーちゃんが拗ねてたよ?」


「ええ……これでも週一くらいで起動させてるんだけど。けっこうやってる方じゃね?」


きーちゃん頭の中が7割IRで占められてるからなぁ、週一じゃあダメか。

デスブラはいい気分転換になるから当然これからもやるとは言え、思い返せばVRゲームを始めてから戦ってばかり。ここらでそろそろ一回まったりのんびりした感じのゲームをしてみたいという思いがあるのも事実。


次ねぇ……。ラオシャンで海に慣れて、IRでクジラ作って、デスブラでシャチ……ほとんど海ばっかじゃん!いやいや母なる海は偉大で俺の魂が還る場所と言ってもいいけど、でも離れてわかる良さもあると思うんだ。


「次は空……かなぁ……」


「空?セレスティアル・ラインとか?」


ぼそっと呟いた俺の言葉に、青が聞き慣れない単語を返した。

セレスティアル・ライン?なんじゃそりゃ?










雲海を超えて、虹の向こうへ!



飛行船乗りとなり、相棒と共に様々な空に浮かぶ島を巡ろう!

可愛かったりカッコ良かったり、甘えん坊だったりクールだったり。姿と性格はあなた次第!?パートナーとなる『風乗りの獣(ウィンズ)』がばっちり空の旅をサポートします!のんびり青い空を楽しむもよし、豪商を目指して交易に精を出すもよし!

旅の先で時折耳に入る不思議な話……あなたはこの世界の秘密を解き明かせるか?


島ごとにある特産品は他の島だと貴重品!

果物はあっちへ、鉱石はこっちへ……。需要と供給を読んで賢い交易で利益を上げよう。上手くいけば大金持ちも夢じゃない!!

大金が手に入れば自分だけの島を買うことも……?


飛行船をカスタマイズ!

何をするにも飛行船は必要不可欠。せっかくいい特産品を見つけても、飛行船が小さくてはたくさん運べない!儲けたお金で拡張したり、どんどん飛行船を強化しましょう!

もちろん内装のバリエーションも豊富!和風だったり洋風だったり……自分の好みにアレンジしたら、フレンド達を呼んでわいわい楽しもう!



航路は果てしなく、無限に広がる。


セレスティアル・ライン  好評発売中!


遥かなる空の世界が、君を待っている。


GTレクスの中の人ことアジサイはパフォーマー気質が若干強いプレイヤーです。カッコいい戦いでカッコよく勝ちたいという、まあ雰囲気に乗せられやすいタイプです。デスブラにおいてそこが弱点だったり強みだったりします。


次のゲームは見ての通りです。空を旅しながら交易したりしてまったりする話になります。

バトル系の話はほとんどない予定ですのでデスブラ編との落差が大きいとは思いますが、こういうジャンルのゲームもやるんだ、くらいの気持ちで見て下さればと思います。

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