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ダイブ・イントゥ・ゲームズ ~ぼっちなコミュ障、VRゲーム始めました~  作者: 赤鯨
フレンドと共に龍を狩れ!(フレンドは付属しておりません) ~Dragon×SlayerX~
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天敵

またしばらく更新できなくなるので、短いですが連投です。


「もう少し……もう少しだ……!」


灼けつく砂地に身を這わせ、牛歩の如き速度で前に進む。

焦るな、しかし急げ。俺たちを狙う黒き悪魔の手先は目を爛々と輝かせている。すでにいくらかの兄弟は不幸にも奴らにやられてしまった。

それでも俺たちは止まらない。散った同胞のためにも進むのみ。

我らが目指す約束の地まであと僅か。


「さあ、ゴールだ……!!」


しかし、悪魔というのはえてして上げて落とすもの。

その例にも漏れず、一瞬のうちに捕らえられた俺の体は大地から引き離され、どんどん約束の地から遠ざかる。


「く、クソォォォオオオ!!もうちょっと、もうちょっとで海だったのに!絶対に許さねえぞこのバカラスゥゥウウ!!」


じたばたともがく俺を咥えて飛ぶ黒き悪魔の先兵に、言葉は通じなくとも祈りが神に通じたか。

つるっと嘴を滑らせたカラスから俺は解放されたが、今度は重力が俺を放してくれないそうだ。ははーん、持ってる男は辛いな?つーかこれ落下先砂浜じゃなくて岩場じゃね?


「なるほど、祈り通じた先は邪神だったか……ぺぎょっ!」


まあ、死ぬよね。






「お帰りなさいませ、赤信号様。この度の生はいかがでしたか?」


「あー……、さすがは海にたどり着くだけで実績がもらえるだけあるわ、ウミガメ。三度目の挑戦でまだ海に出れねぇ」


ヤシの木が一本あるだけの小さな島の砂浜。

もう何度お世話になったかわからないそこに、手のひらサイズのウミガメが一匹。要するに俺だ。


ウェーブのかかった金髪ロングのナイスバディな人魚のアクアとやり取りするのも慣れたもの。そんなことよりウミガメ難しくね?俺の運が絶望的に無いだけか?


なんせ生まれた瞬間に先達の兄弟が穴を崩して生き埋めエンドはあるわ、真昼間に生まれたら海にたどり着く前に干物エンド、さらにさっきあったカラスや海鳥に攫われて食われるエンド。

うーん、生まれてすぐに死亡フラグ多過ぎね?


「出生後というのは、本来とても危険な状態です。守ってくれるはずの母親は出産で疲労し、生まれたばかりの子は速く動かなければ外敵に捕食されます。人間ぐらいですよ、ろくに自力で動けないのに大声を上げて周囲の注目を集めるなんて」


せ、せやな……。

アクアってこんな風に人間に毒吐くこと多いけど、AIを担当した人に当時何かあったんだろうか。


ちなみに、ウミガメが天国に見えるくらいド級の厳しさを誇るのがマンボウ。

マンボウは一度の産卵で三億個もの卵を産むっていうのは有名だよな?そして、それだけ生んだところで大人になるまで生き延びられるのはせいぜい1、2匹だってのも。

そう、マンボウを卵から成魚までプレイするには当選確率三億分の一というクソみたいなガチャを当てなきゃならない。当然ながらほぼ不可能に近いので、他の生き物でもそうだがアクアに頼めば最初から成魚にしてくれる。

しかし、鬼のような試練を乗り越え、見事三億分の一になった豪運のプレイヤーにはラオシャンで最も解放が難しいと言われる『今ここにいる奇跡』の実績がもらえる。現在、この実績を持っているのは一人だけ。何がその人をそこまで突き動かしたのかはわからないが、ラオシャン発売されてからずっとマンボウだけプレイしてたそうな。試行回数は五千を超えたあたりで何回かわからなくなったらしい。二万はいってないとか。

マンボウチャレンジがラオシャンのエンドコンテンツと言われる所以だ。


つーかマンボウ自体、なんで現存してるのかわからないくらい貧弱でヤバい。

俺も何度か成魚からマンボウやってみたけど、あれはアカン。ちょっと海面ジャンプした着水の衝撃で吐血するし、全力で泳いだら本気で死ぬ一歩手前まで行く。それにちょっとしたことですぐに体調壊すし、マジでハードモード。

リアルの水族館のマンボウもカメラのフラッシュでストレス抱えて体壊すらしいし。ガラスにぶつかるくらい鈍感なくせに何でそう心は繊細なんだ。



いや、マンボウはいいって。ウミガメウミガメ、とっとと実績解放しよう。

さーて、次こそは海までたどり着くぞー。








樹海に響く鳴き声。天を衝く山に舞う翼。草原を闊歩する巨体。

雪山に潜む影。砂漠を駆ける脚。

全てを引き裂く爪、命を食らう牙。咆哮は大地を震わし、我こそが最強であると威を示す。


全ての生物の頂点種たる龍に挑むのは、鍛え抜いた身体に深い知恵を併せ持つ人間。

龍に比べればあまりに矮小なその存在は、しかして無二の相棒を担ぎ仲間とともに覇たる者を狩らんとする。


我こそはと意気込む竜殺し達よ。

いざ征かん、闘いの地へ。



連綿と続く大人気シリーズ『ドラスレ』の最新作、堂々登場!

『Dragon×Slayer X』、カミングスーン!







「赤ー!ドラスレやろう!!」

「あーさん、ドラスレやりましょう!!」


「ええ……ようやく黒潮に乗れたんだけど……」


さあ旅の始まりだと思ったらこれだよ。お前ら俺んとこに来るためだけに赤ちゃん期間すっ飛ばしてウミガメになっただろ。卵から出直してきやがれ。


「だってドラスレだよ、ドラスレ!これはもうやるっきゃないでしょ」


「そうです!フルダイブの新作を一体どれだけの人が待ち望んでいたことか!」


うるせえ。つーかドラスレが最後に出たのっていつだろう。俺が中学の時にフルダイブVRになったとかで世間を賑わせてたっけ?そう考えたら結構前だな。


「青はともかく、きーちゃんはドラスレやったことあんの?」


俺が中学の時って、君は小学生だよな?


「前作はIRの前に一通りクリアしました。そしてこの間、新作前にリハビリもしてきました」


ああ、そう……。楽しそうで何よりです。

2人とも来週発売だからって興奮しすぎじゃね?ビッグタイトルなのはわかるけどもうちょっと落ち着け。


「むしろなんで赤はそんなに落ち着いていられるの!?ゲーマーとしてマストタイトルでしょ」


「いや、ゲームは面白いと思うよ、うん。俺も前世代機のタイトルはやってるし」


「「じゃあ、なんで!?」」


ハモられてもなぁ……。

ドラスレに食指が動かない理由?そんなの簡単だ。


あれが仲間とともにギルドを組んで強敵に立ち向かえ的なMMORPGだからだよ。

ドラスレはMMORPGによくあるハクスラとモンハンの中間位をイメージしています。

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― 新着の感想 ―
幼体はともかく本物の大人のマンボウは結構強いはずなんだけどなぁ...嘘情報があまりにも浸透し過ぎてしまった 弱肉強食の母なる海であんな巨体になれるやつが弱いはずがない
[一言] >試行回数は五千を超えたあたりで何回かわからなくなったらしい。二万はいってないとか。 1-(299,999,999/300,000,000)^20000=0.00006666 つまり0.00…
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