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26 なによう!

翌日。


ヨシュア様は約束どおり、騎士達の宿に行き昨日の演技を労った。


騎士達が感激の眼差しでヨシュア様を見ていた。もう、信仰の域ね。これは。


ヨシュア様は若くて美しい容姿をしていらっしゃるから油断してしまうのだけど、戦いの相手としては大変な強豪らしい。

騎士達が言うには、形としては正攻法なのだが戦略がいやらしいのだとか。


なんか、分かるわ。

意外と腹黒いものね、この方。


その後、なぜだかヨシュア様もわたしの買い物に付き合うことになった。


連れていかれたのは、貴族御用達のドレス専門店。


明日の夜会用にドレスを用意することに。

固辞したかったけど、昨夜、セシリアにけちょんけちょんにやられて、さすがに強くはなれなかった。不甲斐なし。


実は新年の王宮舞踏会もパートナーの申し込みをされていた。

ドレスも用意する、と言われていたのだが、わたしは舞踏会より、行進演技の訓練を取った。王都に不慣れな領軍には引率が必要だろうと思ったのだ。


ドレスを贈る、というのは、男女では特別な関係。況してや、ヨシュア様は巫女姫様の婚約者とまことしやかに言われている、噂の人。

いくら状況が許すといっても、痴情のもつれと噂がたつようなことは厳に避けたい。


当て馬は、わたしの方よ?

結婚の希望は諦めかけてるけど、もし、万が一ってことはあるし。

何よりその気もないのに不名誉過ぎる。


だけど、国王と肩を並べる辺境伯、しかもその頭目とも言えるザドキエル南西辺境伯が王都で開く夜会に、センスが無いと言い切られたドレスで行く勇気は流石になかった。不甲斐なし。


わたしはかなり小柄なので、既製品でも体型と年齢に釣り合うものを探すのは、けっこう大変なのだけど、さすが、貴族御用達。

明日、午後にはお直しをして屋敷に持ってきてくれるとのこと。

ううむ、プロフェッショナルな気概を感じました。

けど、わたしの手持ちの化粧品でうまく化けられるかしら。はあ、これだから嫌なのよ。装いっていうのはお金がいくらあっても足りない。


仕方ない、明日会う約束をしているセシリアに泣きつこう。


その後、何人かの騎士と、ヨシュア様も加わって市街地に繰り出した。

王都のお土産を買うために。


みんな、どんなお土産がいいかわからないっていうから、まずわたしが必要なものでってことで、行きつけのお菓子屋さんに行ったら騎士たちに大笑いされた。ヨシュア様まで。


なによう。


「どんだけ、甘いものが好きなんですか!神官様!子供か!」

「違う!好きなんじゃなくて、必要なの!飴は喉にいいのよ!」

「はいはい。では、俺たちの感謝の気持ちを込めて、贈らせていただきます。」


あら、ありがとう。


じゃあ、ジュエリーボックスをと言うと、騎士たちが焦ったのが面白かった。


お菓子屋さんでジュエリーボックスなんだから、お菓子に決まってる。

店員さんがこれは歌姫御用達なんですよ、と言って出してくれた。贈答用の美しい箱に入った飴とゼリーの詰め合わせ。


歌姫の差し入れには、定番の品。

夜には神殿に行くので歌姫たちへの差し入れだ。

辺境にはないオシャレな箱を気に入って、お土産に、と騎士たちがこぞって買い求めた。


次に楽器屋さん。修理用の弦や、道具。新しい楽譜。五線紙。

ここではカービング領のつけにしていいことに。

そうよね。だって領の楽器を修理するんだもの。

顔見知りの店員が、昨日の天覧演奏のことをいち早く知っていて、それが私が寄越されたカービング領だって言うことに、びっくり。

その領主と騎士たちを引き連れて、店にやってきたことにまた、びっくり。

噂のヨシュア様の美貌に、宙に浮くくらいびっくり。


「やだ!あんた、言いなさいよ!こういうことは!記者、呼んどくんだから。」


昨日の天覧演技のことが既に噂になっていた。


国王陛下の覚えめでたかった私たちが入店したのを、最近、流通している流行紙に売り払うつもりらしい。


下種ね。と気安くバカにしてあげると、お姉さんのようなお兄さんにうちの店に恩返ししなさいよ!と怒られた。


まだ返すほどの、恩は受けてません!





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