表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
迷宮伯嫡子はカネがない  作者: 神奈いです
第二章 カネがないのでお値打ち外交
17/59

公爵に文句がある

「おお、あの烈女英雄の息子どのか!

「迷宮伯か、迷宮があるとは羨ましい」


帝国西部の独立派貴族のパーティに参加したらずいぶんと歓迎された。

河川伯、火山伯、花伯、都市伯などいろんな異名を持つ方々だ。


「いや、母君にはだな。うちの領地に現れたリッチを討伐してもらったことがあってな」

「わしは領内の奇病を治す秘薬に必要な薬草を探してくれて」

「獣人大洪水で管区動員がかかったときかな、獣人の群れに包囲されたわが軍に助太刀いただいてだな」


母さんは領主になる前の冒険者時代から、領主になった後でもあちこちで活躍していたらしい。

ボクとドルミーナを産んでからは「残機を確保しないとね!」とか言ってしばらくおとなしくしてたけど。


あ、残機って冒険者用語で弟子とか後継者って意味だよ。


でも、これだけ関係があるなら借金のお願いもできる?

「昨年の大不作でみな財政が厳しくてなぁ」

知ってた。


伯爵たちが酒を飲みながら愚痴る。

「タダ飯が食えると思って家臣どもを引き連れてやってきたんだがな」

「西大公め少し領地がでかくて金持ちで魔法や軍事に才能があるからと我らを見下しておる!」

「しーっ、そこに公爵のメイドがおるじゃろ」

「聞かせてよいのではないか?」


なにがあったのですか。


「招待状の形式が違うとやらで城門で延々待たされ」

「なんか来客名簿が正門にしかないとかで外壁を半周させられた」

「突然部屋を代われとか荷物全部置いてからだな」

「わしにだけ弓術大会の案内が来なくてな、行きたかったのに」

みんな一緒の状況みたい?


「しかもこんなグダグダな対応をしておいて従属せよなどと、ふざけておる」

「ああ、あの文官服めが言葉は丁寧だが偉そうに資金援助しましょうかなど」

「うちは武官が来たが資金援助など聞いてないぞ」

「ウチには来ておらんが、そのうち来るか?」


あれ?ここもバラバラなんだ……。


「そうか、迷宮伯もそのような状況だったのか」

「よし、ともに戦おうではないか」

「我らが全員集まればたかが公爵、ちょっと兵が多くて将が優秀で魔導士も多数、兵糧が豊富なぐらいであろう」

「戦いは数ではないからな」

「えー」


待って待って……あとグスタフ先輩も乗せられないで。

これを母さんや、先輩の奥さんが聞いたらどう思う?キレて即座に挙兵するよね!?


大喜びで「軍資金が足りない?!なら略奪だ!」とか言って公爵領に攻め込むよ?!


たしかにちょっと兵が多くて将が優秀で魔導士も多数、兵糧が豊富なぐらいなら……うーん、母さんと作戦次第では戦えるかもしれないけど、ボクの家臣も大勢やられちゃう。


なんとか近所の酔っぱらったおじさんおばさんたちを宥めて部屋を出た。



このままじゃ結婚式が台無しになって花嫁さんや花婿さんが可哀そうだ。

なによりもこんなわけのわからない理由で戦争になって、ボクの愛する家臣や領民が傷つくのは嫌。戦う人たちも納得できないよ。やるならちゃんとした理由できちんと勝てるようにやらないと。


なんとか西大公につながる人に現状を伝えて、穏便に解決できないかな。

執事さんの手にはあまるから貴族で……。


って西大公派の貴族とは交流がないぞ、どうしよう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
博覧会みたいな称号の花伯が気になる。どういう立地なんだろう
状況を見逃してるポンか 全部手のひらの上なのか 結婚祝いに一戦みたいな文化だったらあるいは
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ
OSZAR »