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028_色々画策します

あうっ……1日天下……。

(*_*)



 この物語はフィクションです。

 登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。

 ■■■■■■■■■■

 028_色々画策します

 ■■■■■■■■■■



 虐殺者に色々聞いていたら、動かなくなった。俺はまだ聞きたかったんだけど、聞き終わる前に死んでしまった。

 俺は約束を守って解毒剤を渡すつもりだったけど、聞きたいことが多すぎて全部聞く前に死んじゃった。自分の毒で死んだのだから、自業自得ということで。


 俺に飛びかかってきて生きていた盗賊も、逃げようとしたのか5メートルくらい這った跡があり死んでいた。出血していたから、どんどんHPが減っていってゼロになったようだ。

 ポーションくらい持っていても良いものをと思ったら、俺の一撃でポーションの瓶が割れてしまったようだ。悪いことをすると、運にも見放されるんだろう。


 レコードカードが胸から出てきたから、5人分を回収した。ダンジョンの中だと死体はダンジョンが処分してくれるけど、ここではそうもいかないから死体もアイテムボックスに回収した。

 5つも枠を使うから邪魔でしょうがない。


「しかしゴルテオさんの商隊を襲った盗賊を殺した時は吐いたけど、今回は吐かないな……。人を殺したのはあれ以来だけど、モンスターと戦って慣れたのか? 異世界に馴染みつつあるのかな?」

 殺人に慣れたくはないが、戦っている時に躊躇するよりはいいか。躊躇すれば自分が殺される世界だから、俺は躊躇しない。


 ジョブを暗殺者にして周囲の気配を探ったが、他に誰も居ない。俺が意図的に誰も居ないような場所に誘い込んだんだけど、仲間は他に居なかったようだ。

 町中のあちこちに分散して俺を探しているのかな。


 次は政庁に向かった。ジョブは暗殺者のままだ。

 正面からではなく、裏口からスキル・壁抜けを使って政庁内へ。別に正面からでもいいんだけど、気分かな。


 あの虐殺者―――名前をウパスというんだけど、あいつの話では役人の中に盗賊の仲間が居るらしい。よくある話なので驚きはしないが、呆れてしまった。


 ゴルテオさんの商隊を襲った盗賊のレコードカードを政庁に持ち込んだ時、俺のレコードカードが確認された。それで俺の名前やジョブが盗賊に漏れたのだ。


 隠密を発動させながら政庁内を進み、盗賊の仲間を発見。ただし他にも盗賊に協力している役人が居たため、全員の名前をメモっておく。

 次は証拠品を探す。こいつらのレコードカードを確認すれば、犯罪は明らかになる。だけどそれなりの立場にある奴らだから、レコードカードを確認させるのも面倒なことになる。だから証拠を集める。


 家まで押しかけなければいけないかと思ったが、壁抜けのおかげで色々な帳簿を発見できた。

 盗賊とつるんでいるだけでなく色々な悪事を働いていたから、横領の帳簿がいくつも見つかったのだ。これがあれば、レコードカードで罪状確認されるだろう。そうなれば、盗賊との繋がりも判明する。アイテムボックスに証拠を回収して政庁を出る。





 次は領主の城だ。

 領主の城で領主の部屋を探す。広い部屋。豪華で立派な家具がある。天蓋つきのベッドまであるよ、さすがだね。


 壮年の男性が1人で酒を飲んでいる。この落ち着いた感じの人物が、この城の主なんだろう。

 アルカイン=ガルドランド公爵。驚いたことにこの人のジョブは公爵だ。


 貴族でも生まれた時のジョブは村人らしいが、生まれてからの生き方で貴族に転職できる。その貴族から公爵に進化できるらしいが、公爵なんて滅多なことでは転職できない。そんな公爵というジョブに転職したこの人は、文武両道の為政者と詳細鑑定が教えてくれた。


 文武両道でも清廉潔白とは限らない。それでもこの公爵はマシな貴族だと思う。盗賊と繋がっている役人たちを処分してくれるだろう。

 と思うんだが、どうすればいい? 証拠を見せびらかせばいいのか? いかんな、そういうところの詰めができない。


 そばに寄ろうとしたら、公爵がピクリッと眉を動かし視線をゆっくり動かす。その視線は鋭く、まるで俺が居るのを知っていて捜しているようだ。

 俺は背筋に酷い汗をかき、1歩下がった。この人、めちゃくちゃ怖い。


「気のせいか……」

 声が渋い。ワインを口に運ぶ所作も渋い。格好いい年の取り方をしていると思う。


 一度部屋の外に出て、深呼吸してから用意を整える。

 そしてもう一度公爵の部屋に。あの距離から中には入らないようにして、ベッドの上に証拠の帳簿とメモ書きを置いて部屋の隅に。これだけの作業なのに、緊張のあまりびっしりと汗をかいた。


 公爵がワインを飲み終わり、ベッドに視線を向ける。ベッドの上には公爵の与り知らぬ帳簿とメモがある。普通ならかなり焦るところだが、公爵は声の1つも出さずにその帳簿を手に取った。


 ペラペラと帳簿を流し読みし、その後は俺が書いたメモを手に取った。

 俺、なぜかこの世界の文字が書ける。話せて読めるだけでも驚きだけど、書くこともできるんだ。


 公爵がベッドのそばの壁から垂れ下がっている綱を引く。どうやら使用人を呼んだようだ。

 気配で周辺の人の動きを探っているが、隣の部屋の気配が動いて公爵のところへやってきた。老執事といった風貌の人物だ。


「ザイゲンとバルカンを呼べ。それから着替える。シャーレを」

「承知いたしました」

 老執事が出ていく。


「まだ居るのだろ?」

「っ!?」

 俺のことは見えてないようだが、俺の存在を感じているようだ。ジョブ・公爵Lv35は半端ない。


「姿を見せよとは言わぬ。だが、明日のこの時間もここに来るがよい」

「………」

 どんな目的でこんなことを言うのか? 俺を罠に嵌めて捕えようというのだろうか? 分からないが、放置する気にはなれなかった。危険かもだが、明日も来ようと思った。






 公爵の城の次は、シャルディナ盗賊団の屋敷に向かう。

 夜遅くなってしまったが、屋敷に侵入。今日は他人の家に侵入してばかりだな。


 シャルディナの部屋の前には相変わらず盗賊が立っていて、中にも護衛が居る。それらの気配を感じつつ、シャルディナが居る部屋の隣に入る。壁抜けマジで便利。


 そこは棚が並んでいて、革袋がいくつも置いてあった。

 ドアはないが、壁が開きそうだ。隠し部屋なんだろう。しかもシャルディナが居る部屋へ通じるものしかなく、窓もない。

 こんな部屋があるとは思っていなかっただけに、驚きに目が開く。


 マジックアイテムと思われるアイテムもある。不正に貯め込んだものなのは、簡単に想像がつく。


 革袋の中を見ると……。10万黒金貨がびっしりと入っていた。100枚くらい入っているんじゃないか。他の革袋も同じく10万黒金貨が詰まっていた。

「1袋で1000万グリルか。そりゃー厳重に保管されているわけだ」


 袋は全部で20袋あった。総額2億グリル。20億円相当だ。これだけあれば一生遊んで暮らせそうだ。

 もちろん手は出さない。お金は欲しいが、これに手をつけたら盗賊と変わりないからね。


 でもマジックアイテムは欲しい。思わず手が出かけたけど、引っ込めた。

 俺が汗水垂らし働いたお金で買ったわけじゃないし、シャルディナたちを排除するのは俺が安心して過ごすためだ。


 ここにあるものは、シャルディナ盗賊団が誰かから奪ったものだ。それを俺のものにするようなことは、盗賊と同じ行為になる。

 欲しいものがあったら、真っ当に働いて自分の金で買う。盗賊から奪うようなことはしない。それが俺の矜持だ。


 そもそも、この世界にはレコードカードというものがある。人のものを奪えば、犯罪歴がつく。下手をすれば、ジョブが盗賊になりかねない。そんなリスクがあるのに、このお金やマジックアイテムに手をつけるのは危険だ。


 他の部屋に行こうと思ったが、この部屋には不自然なものが置かれているのが目に入った。

「書類か」


 書類を手に取って中を確認する。盗賊団の構成員名簿だ。これがあれば、誰が盗賊か一目瞭然じゃないか。

「お、これは……」

 しかも協力している役人や商人、貴族の名前もしっかりある。これはもらっていこう。


 これは犯罪の証拠品だ。盗賊を殺しても罪にならない。それと同じで証拠品なら持ち出しても罪にはならない。これは詳細鑑定が教えてくれた。

 でも証拠にならないものはダメだ。犯罪歴に記録されることになるから注意が必要だ。それが盗賊のものでもだ。


 ただし、犯罪にならない逃げ道もある。それはこれらのお金やマジックアイテムを回収して然るべきところに提出することだ。その行為は俺になんのメリットもない。公爵家に目をつけられるなんてごめんだ。

 だから証拠品だけもらっていく。


 それは良いとして、この名簿には他のアジトの情報まで書いてある。こんなものを作っていいのか? ここに役人の手入れがあったら、お前たちも道連れとでも言っているのかもしれないな。だから全力でこの情報を守ろうとするだろう。それはこの屋敷を守ることに繋がるわけだ。

 狡猾だと思うが、これだけの盗賊団を率いるには、それだけの周到さが必要なんだろう。


 他の部屋も物色して、盗賊団の情報を集める。名簿以外はなかなかいい情報はないが、金庫があった。俺の背丈ほどもある大きな金庫だ。さすがに金庫を開けるスキルは持っていないから、中に何が入っているか分からない。


 今日はここまでにしよう。明日、公爵に名簿を渡す。公爵が動いてくれるかは分からないが、あの人は動いてくれそうだと勝手に思っている。

 問題はどれだけ素早く公爵が動くかだな。ゆっくりしていたら、名簿がなくなったことにシャルディナが気づくだろう。その時点でシャルディナは逃げてしまうはずだ。

 そうなったらやり方を考えなければいけないな。公爵に頼らないやり方を。






 貸家はまだ用意できてないから、宿屋に帰って寛ぐ。

「お帰りなさいませ、ご主人様」

「お帰りなのです。ご主人様」

 夜遅いと言うのに、アンネリーセとロザリナは起きて待っていてくれた。

 そんな2人の顔を見たらホッとして、力が抜けるようだ。


 今日はダンジョンから政庁、公爵の城、盗賊のアジトと回って忙しかった。

 汗をたくさんかいたから、アンネリーセに拭いてもらう。夜遅いから、お湯は頼めなかった。寒い。

 ロザリナは顔を背けてもらった。


 以前のアンネリーセは老婆だったからその体を拭いてやって、そのお返しに拭いてもらった。やましいことはない。

 今はその時の名残であって……俺の願望も入ってはいるが、がんばって我慢している。


 ロザリナは見てないが、すぐそばに居る。そんな状況でアンネリーセの体を拭く。背徳感が半端ない。

 部屋を2部屋にしたほうがいいのだろうか? いや、どうせすぐに貸家に移るんだ、ここは我慢してもらおう。


 

ご愛読ありがとうございます。

これからも本作品をよろしくお願いします。


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 一章も佳境に入ってまいりました。

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[一言] そもそもだけど、初手で詳細も知らずに襲われてるように見えるからって、被害者でもないのに後ろから人を切り捨ててるんだから普通に犯罪者なのでは? 犯罪奴隷って犯罪者な訳だけど、奴隷殺したら罰せ…
[気になる点] 【これは犯罪の証拠品だ。盗賊を殺しても罪にならない。それと同じで証拠品なら持ち出しても罪にはならない。これは詳細鑑定が教えてくれた。】って盗賊を殺しても罪にならないなら討伐後所有者無し…
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