021_アイテムボックスホイホイ
祝、日間ファンタジー異世界転生/転移ランキング5位!
ありがとうなのです!
この調子で伸びたらいいなぁ。(⌒∇⌒)
この物語はフィクションです。
登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。
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021_アイテムボックスホイホイ
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3階層を順調に進む。スレッドスパイダーは1体か2体で出てくるけど、敵ではない。2階層のボスのように連携されたら厄介かもだけど、連携しないから断然楽だ。
AGIが下がっても5ポイントなら、まったく問題ないし。
「あっ!?」
「どうしました?」
「ちょっと考えたんだけど、あの糸の攻撃をアイテムボックスで受けることはできるのかな?」
「え?」
アイテムボックスは生物は入れられないけど、そうでないものは入れられる。俺から1メートル以内なら触ってなくても大丈夫だから、飛んでくる糸をアイテムボックスに収納してしまえばAGIダウンもないと考えたわけ。
昨日の検証の時になんか違和感があったんだけど、これのことだったんだ。
「なるほど……そんな使い方は聞いたことないですが、試してみてもいいかもしれませんね」
「それじゃあ、試そう!」
そんなわけで俺は糸攻撃無効化対策として、アイテムボックス収納作戦を決行することにした。
発見したスレッドスパイダーは2体。構わずアイテムボックス収納作戦を決行。
1体目は糸を吐いてくる前にミスリルの両手剣を振り切って瞬殺。それを見た2体目が糸を吐いた。
「アイテムボックス!」
飛んで来た網目状の糸が消えた。
「お、成功じゃんっ」
俺は実験が成功して歓喜し、スレッドスパイダーは何が起きたのか分からず戸惑う。
歓喜しても俺は油断せずにスレッドスパイダーを切り裂いた。
「アンネリーセ。アイテムボックスに糸が入ったぞ」
「はい。見ていました。おめでとうございます。さすがはご主人様です」
抱きつくアンネリーセのプルンプルンを感じる。これが一番のご褒美だ。
「あとさ、アンネリーセの魔法がアイテムボックスに入るか、確認させてほしんだ」
「魔法も入るとお思いですか?」
「分からない。でも、入る気がするんだ。まあ、入らなくてもそれが分かればいいんだよ」
「分かりました。どのようにすればいいでしょうか?」
俺の横を通るように魔法を放ってほしいとたのんだ。さすがに直撃コースは怖すぎる。
「撃ちます!」
「おう、頼んだ!」
「───ファイア」
杖の先からボワーッと炎が伸びた。凄い熱量だ。これが魔法使いLv21の魔法か。
俺の横を火炎放射のような炎が伸びている。この状態でアイテムボックスを発動。
「おおおっ」
火炎放射の炎が、俺の横で消えている。
「魔法まで……」
10秒程放ってもらったが、その全てをアイテムボックスに収納できた。
アイテムボックスを見てみると、網目の糸の横の枠に炎のマークがあった。
「これ、出したらどうなるかな?」
「想像もできません……」
「通路で出すのは怖いから、ボス部屋で試してみようと思う」
「それがよろしいかと思います」
なんだか楽しくなってきたな。
魔法のほうは怖いが、糸のほうは出してみた。
俺の反対方向に出るように意識して出したら、4メートル程飛んで消えた。どうやら慣性はそのままのようだ。
「あとは糸が消える前にモンスターに接触したらAGI値が下がるのか、確認だな」
「ご主人様はとんでもないことをしている気がします」
「そうか? これまでアイテムボックスを持っている人は、思いつかなかったのかな?」
「そういった話は聞いたことがありませんから、過去に同じことをした人は居ないのではないでしょうか?」
「もしくは秘密にしていたか」
秘密にしていた可能性はないと言えない。俺も公表する気はないからね。
「よしっ。アイテムボックスホイホイを使いまくって、使い方に慣れるぞ」
「アイテムボックスホイホイですか?」
「飛んでくる糸や魔法を捕獲するからアイテムボックスホイホイ。おかしいかな?」
「ホイホイというのはよく分かりませんが、発音の感じが素晴らしいです。ご主人様は名づけの天才ですね」
「お、おう。そうか?」
照れるな。もっと褒めていいぞ。パクリだけど。
次は1体のスレッドスパイダーが現れた。もちろん糸を吐いてきたからアイテムボックスホイホイで回収して、お返ししてやった。
結果、スレッドスパイダーのAGI値が5ポイント下がった。
「凄い発見ですよ、ご主人様」
「ああ、楽しい実験だった」
こういうのが上手く行くと、とても嬉しいし楽しい。
アイテムボックスホイホイを使いまくってスレッドスパイダーを蹂躙した俺は、ボス部屋の前に辿りついた。
スレッドスパイダーとの戦闘は苦戦しなかった。ただアイテムボックスホイホイが楽しくて、使い過ぎてしまった。
それとアイテムボックスの熟練度が(低)から(中)に上がった。これでアイテムボックス枠が60になった。枠に余裕がなかったから助かる。
さらに両手剣の英雄がレベル6に上がった。どんな戦い方でも戦闘だとレベルが上がるようだ。
ボス部屋の前には2組のパーティーが順番待ちをしていた。
ここまで来る経路はアンネリーセの魔力感知のおかげで他の探索者を避けてきたけど、ボス部屋だけはそうはいかない。
俺とアンネリーセはダミーで背嚢を背負っている。そこから出すフリをしてアイテムボックスから池イカの姿焼きとゲソ焼きを出す。
アンネリーセはゲソ焼きのほうが好きらしいが、俺は体のほうが好きだ。どっちも美味いけどね。
「時間かかりそうだから、腹ごしらえしようか」
「ありがとうございます」
香ばしい匂いが少し離れて待つ探索者たちの鼻をくすぐったようで、池イカの姿焼きをガン見してくる。おい、涎垂らすなよ。
探索者の多くは自分たちで食料と水を持ち込み、それを消費しながら空いたスペースにドロップを入れていく。基本的に腹に溜まるものを優先して持ち込むから、池イカの姿焼きのようなものは持ち込んでない。羨ましいんだろうな。
「な、なぁ……金を出すから、そのイカ焼きを分けてくれないか」
寄越せと言わないだけまともな探索者だ。
「1本でいいか?」
「逆に何本ならいいんだ?」
「姿焼きが2本とゲソが2本かな」
「じゃあ、その4本をもらうよ」
俺たちが食べたものを一緒に入れてあった袋から4本を取り出す。これで袋は空だ。
その探索者は代金として銀貨2枚を差し出してきた。池イカの姿焼きは白銅貨3枚、ゲソ焼きは白銅貨2枚だから、4本で銀貨1枚(100グリル)だけどその倍を出してきた。ここまで運搬する労力を考えると、そういうものなんだろう。
美味い美味いと言いながらその5人で分け合って池イカを食っている。
あの探索者がリーダーのようで、皆に分け与えていた。
その前で待機していたパーティーのメンバーが、血走った目で俺たちを見ていた。もうないぞ。
「ご主人様。今後はこういうことを控えてください」
アンネリーセが小さな声で言ってきた。
「ん、なんで?」
「あの池イカはまだ温かいものでした。ご主人様がアイテムボックス持ちだということが知られてしまいます」
「あ……そうだな。すまない」
忘れていたよ。今後は気をつけよう。
結構待ったが、ボス部屋に入った。遺品はなかったから、あの探索者たちは無事にボスを倒したようだ。剣士と槍士の5人パーティーだから、村人パーティーよりは安定するんだろう。
さて、3階層のボスはジャイアントスパイダーという大きなクモだ。スレッドスパイダーの倍くらい大きさで、赤黒の縞模様がある。
「キモッ」
黄黒の縞模様もキモかったが、赤黒のほうが毒々しくてキモイ。
大きいのにAGI値はスレッドスパイダーよりも高い。それだけ速いということだが、注意が必要なのは速さよりも毒だ。こいつ、糸も毒も使う厄介な奴なんだ。
「ふふふ。俺には奥の手があるんだ。お前になんか負けないぞ」
ダンッと床を踏みしめ、構える。奴と俺の距離は10メートルないくらい。さあ、勝負!
───アイテムボックス!
ゴォォォォォォッ。
アイテムボックスに収納しておいたアンネリーセの魔法を放出する。
火炎放射のように炎が伸びて、ジャイアントスパイダーが火に包まれた。
火に包まれたジャイアントスパイダーは、もがき苦しみ俺に攻撃を仕掛けるどころではない。
「………」
ジャイアントスパイダーは動かなくなり、消滅した。アンネリーセの魔法は、3階層のボスを瞬殺するものだった。
「スレッドスパイダーもジャイアントスパイダーも火が弱点だから瞬殺だったな」
「アイテムボックスが優秀すぎますよ、ご主人様」
アイテムボックスのおかげで魔法も収納できるから、いざと言う時のために、いくつか収納しておこう。
ドロップアイテムを換金するためにギルドに行ったんだが、ギルドの中にも盗賊が入りこんでいる。警備兵はどうした? ギルドは盗賊とグルなのか?
しかし邪魔だな、こいつら。潰したいが、どうしたらいいか……。
・スレッドスパイダーのノーマルドロップ品、綿糸25個2000グリル。
・スレッドスパイダーのノーマルドロップ品、Gランク魔石19個4750グリル。
・スレッドスパイダーのレアドロップ品、綿布2個3200グリル。
・ジャイアントスパイダーのノーマルドロップ品、毒袋1個1800グリル。
※総合計1万150グリル。(10万1500円相当)
【ジョブ】両手剣の英雄Lv6
【スキル】指揮(微) 全体HP自動回復(微) 身体強化(低) バスタースラッシュ(微)
【ユニークスキル】詳細鑑定(低) アイテムボックス(中)
ご愛読ありがとうございます。
これからも本作品をよろしくお願いします。
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