24ー練習みゃ
「れんしゅうみゃ?」
「あら、ミミ。忘れたの? ミミは何をしなさいと言われていたかしら?」
「わ、わ、わしゅれないみゃ。らうみぃのまりょくしょうしゃの、れ、れんしゅうをしゅるみゃ。みゃみゃ!」
めちゃくちゃ動揺しているじゃないか。こいつ、忘れていたな。そう言えば、父にそう言われていたんだっけ。
あれからなんにもしていないぞ。
そして俺は、ミミを先生に魔法の練習中だ。
「みゃみゃ? なんれ、れきないみゃ? わからないみゃ」
「ぶぅ」
偉そうにミミは言っている。そんな事を言われてもだ。使えないのではない。
基本のライトが大き過ぎると言われているんだ、わ
「らうみぃは、まりょくりょうが、ぼうらい(膨大)みゃ。もっとちょびっとれいいみゃ」
「あばぅ」
「もいっかいしゅるみゃ。らいとみゃ」
「あばぁ」
俺は小さな手を出す。と、またまた超弩級の光の球が現れた。
ペカーッてどころではない。何も見えない。何回やってもこうなる。
俺ってそんなだったかなぁ?
「みゃみゃみゃ! まぶしいみゃ! らからちがうみゃ!」
「あばぁ」
俺が魔力を流すのを止めると、光も消える。いやいや、俺大賢者と呼ばれていた時だってこんな事はなかったぞ。
マジで、魔力量が増えてないか?
「らうみぃ、なんなのみゃ?」
「あばぶあ」
何でもないさ。さ、頑張ろう。
「らうみぃは、まりょくをちゅかおうと、おもわないほうがいいみゃ。きっとしょうみゃ」
「あば?」
意味が分からないのだけど。
「なにもかんがえないれ、らいとみゃ」
「ぶぶぅ」
よし、何も考えないでか。また俺は手を出す。
「やっぱしょうみゃ。ちょうろいいみゃ」
「あぶあぶ」
そう、ポンッと光の球が出たんだ。それでも俺の顔より大きい。
そうなのか。俺って、今回はこんな感じなのか。なら、転移魔法だって楽勝じゃないのか?
「らうみぃに、ちゅかえないまほうなんて、ないみゃ」
「あば!?」
そうなのか? と、言う事でだ。色々ミミに見て貰いながら試した結果、本当に楽勝で主な魔法が使えた。
何より嬉しかったのが、強化魔法が使えた事だ。身体強化なんて今の俺には超必要じゃないか?
身体強化して、サクッと歩くぜ。
「らうみぃ、らめらめみゃ」
「あば?」
何が駄目なんだ? 身体強化が使えるのだから、歩くのだって楽勝じゃないか。
「みゃみゃ、らめみゃ」
だからどうして駄目なんだ?
「しんたいきょうかを、ちゅかいしゅぎたら、らめみゃ。らうみぃは、あかちゃんなのみゃ」
「ラウ、ミミの言う通りよ。駄目なのよ」
母が部屋に入って来た。母も駄目だと言う。聞いていたのか?
「ラウが早く動きたいのだろうって事くらいは、見ていると分かるわ。でもね、身体強化に頼ったら駄目よ」
母が教えてくれた。今は身体の基本を作っている最中だ。
骨が丈夫になり、基本的な筋肉がつく頃だ。そんな時に身体強化で無理矢理身体を動かしたら、反動がくるのだと。
「もちろん、そんな事をした人なんていないわ。誰も赤ちゃんの時にそんな魔法を使えないもの。それ以前に考える事もできないわ。だからこれは私と父様の考えなのだけど、それでも駄目よ」
「ああーちゃ」
「母様と父様はね、ゆっくり大きくなって欲しいの。前に父様が言っていたでしょう? ラウが笑った、立ったという事が私達にとってはとても掛け替えの無いものなの。宝物なのよ。それを魔法で一足飛びにしたりしないでちょうだい」
「あうぁー」
そうか、俺の身体を心配してくれているんだ。
「いつまでも可愛いラウでいてほしいのよ。ラウが元気で育ってくれる事が私達の願いなの」
「ああーちゃ」
思わず俺は母に抱きついた。
俺は一回目の時に何を見ていたのだろう。こんなに俺の事を思ってくれる両親を、成長するにつけ遠ざけていたように思う。
だって、誰だってあるだろう? 親が疎ましく思ってしまう時期がさ。
そんな頃に俺は魔族討伐に出た。ちゃんと親と話し合う事もなく、ちょっと近所に行って来るといった感じでサラッと。
きっと両親は、心配してくれていたのだろうと思う。
まさか、そのまま命を落とすなんて思わなかった。
危険だという事は分かっていた。だけど多分俺自身が自分の大賢者というジョブに、驕っていた部分があったんだ。俺は大丈夫だと、どこかで思っていた。
その結果があれだよ。王妃と王女に嵌められた。俺は王女の婚約者に刺されて殺された。
今回は絶対にそんな事にはさせない。俺だって守るんだ。
「ラウ、ミミ、あなた達の契約をしてしまいましょう」
「あば?」
「みゃみゃみゃ! けいやくみゃ!」
ミミが何故がパタパタと、嬉しそうに飛んでいる。
「やったみゃ! ちぇんじはなしみゃ!」
「あぶぅ」
意味が分からないんだけど。
「ラウ、使い魔との契約があるの。それで正式にあなたの使い魔になるのよ」
「あばー」
ええー、ミミでいいのか?
「みゃみゃみゃ! なにいうみゃ! みみはかんぺきみゃ!」
自分で言っているというのが、どうも信用できない。
「らうみぃのちゅかいまは、みみみゃ! ちぇんじなしみゃ!」
「あらあら、ふふふ。気にしていたのね」
「あたりまえみゃ。ちゃんじなんてしゃれたら、しぇいれいじょうおうに、おしおきされちゃうみゃ」
「あら、そうなの? じゃあ、やっぱりチェンジしようかしら?」
「みゃみゃみゃ! やめりゅみゃ! みみはがんばるみゃ!」
「はいはい。ふふふ」
なんだか、ミミ。必死だな。
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