三国王
「そ、そんな……あの、ガストン様が負けただなんて……!」
「む、無理だ。勝てっこねえよ……!」
「ひいっ!」
「死にたくねえよ」
「だ、誰か……」
「か、神様……!」
なんと、兵士達が物凄く怯え始めた。ガストンさんを倒した事によって兵士達の士気を下げることになったみたいだ。
よし!!
これなら、楽勝だな!!
「うおおおおおおおおおおおおお!!!!」
俺は雄叫びながら怯えている兵士達へと突撃する。兵士達は足がすくんで動け無いのか抵抗せずに次々と戦闘不能へと陥る。
このまま一気に三国王達の元へと駆け抜ける!!
俺は全ての兵士達を戦闘不能にして行く。これなら行けると思った。その時、俺は背後から吹き飛ばされる。
なんとか受け身を取ることに成功した俺は、背後へと振り返ると、そこにはガストンさんが立っていた。
嘘だろ……
だってさっき気絶したんじゃないのか……
「ハア……ハア……ここまで追い詰められたのはゼオン以来だ……」
ガストンさんは完全に立ち上がった訳ではないみたいだ。その為、先程から肩で息をしている。
どうやら、俺のかかと落としのダメージはまだ残ってるみたいだ。それに獣化も解いて人の姿に戻っている。
「しぶとい人だ……」
「はっ……それが自慢なんでね……」
くそっ……!
それより、兵士達はガストンさんが立ち上がったせいで、また士気を上げた。
「うおおお!! さすが、ガストン様だ!!」
「や、やった!!」
「か、勝てる! 勝てるぞ!!」
くっ……
面倒な事になったな……
「さあ……第3ラウンドの始まりだぁあ!!」
ガストンさんは体当たりするように、肩を突き出して俺に突っ込んでくる。
この程度の攻撃なら簡単に避ける事が出来る。俺は体当たりを避けるとガストンさんの背中に蹴りを放つ。
蹴りをモロに受けたガストンさんはそのまま前のめりに倒れてしまう。しかし、また立ち上がり俺に体当たりをしてくる。
「しつこい!!」
俺は避けると今度は魔法を放った。また、同じように前のめりに倒れたが再び立ち上がった。
なんで……
なんで!!
倒れろよ!!
「へへっ……てめえ、焦ってるだろ。なんで、こいつは倒れねーんだって」
「ッッッ!!!」
この人のどこにそんな力があるんだよ!
「そこだぁああ!!!」
それは、もはやパンチと言うよりはただ腕を振り回しただけのものだろう。俺は油断していた為にモロに受けてしまう。幸い仮面は壊れることは無かった。
だが、その攻撃は軽すぎた。
「ハア……ハア……」
ガストンさん、俺は貴方を舐めていた。だから、敬意を込めて全力をお見舞いしよう。せめてもの手向けだ。
「紅蓮業炎衝!!」
俺はガストンさんの胸に火属性を纏わせた掌底を打ち込む。打ち込んだ箇所は爆発を起こしてガストンさんは倒れる。
「ごふっ……!」
ドサッとガストンさんは膝から崩れ落ち前に倒れた。立ち上がる気配がないので、今度こそ倒せただろう。
俺は再び三国王達の元へと向かう。三国王へと至る道のりにいる兵士達を、薙ぎ倒しながら戦場を駆け抜ける。
「はあああああああああ!!!!」
一気に数十人の兵士達を戦闘不能にしていく。一体どれだけの兵士達を戦闘不能にしたのか。
もはや、そんなことはどうでもいい。
空を見てみると、もう日が傾き夕暮れとなっている。俺はどんどん兵士達を戦闘不能へと追い込む。
そして、遂に三国王達の元へと辿り着いた。人間の国王。エルフの女王。獣人の国王、ゼオン・ヴァーミリアン。
やはり、今までの敵とは訳が違う。何と言うか王の威厳みたいな雰囲気が漂ってくる。実際、王なのだが。
三人が俺を睨みつけてくる。その視線から、感じられるのは仇を討たんとばかりに憎悪に満ち溢れている感情だ。
「よもや三万の軍勢を倒すとはな」
ゼオンさんが俺を睨みながら話しかけてくる。
「だが、貴様はここで終わりだ」
「ゼオン。前置きは無しだ。こいつは私達の子供達を殺した。生かしておく必要はない」
人間の国王が剣を抜きながら、そう言ってきた。
「そうですね。彼はこの場で処刑としましょう」
エルフの女王……凄い美人だ。
いかんいかん!!
ソニアさんとの約束があるもんな!
美人だからって容赦はしねえぞ!!
……戦ってる最中におっぱいとか触っても問題無いよね?
不可抗力だもんね?
許されるよね……?
こうして俺と三国王の戦いの火蓋が切って落とされる。不純な動機が見え隠れしているが、少しくらいは大目に見て欲しい。
改訂済み