表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/684

サバイバル!

「さあ、始まりました!! オルランド王国闘技大会!! 今年は誰が優勝するのでしょうかあああっ!!!」



 無駄に熱い司会が闘技大会を盛り上げる。熱気に包まれる会場がさらにヒートアップする。



「さて! 今回はなんと勇者様も参加しております!! さあ、彼らの実力はいかに!?」



 司会の止まらないトークに呆れそうになる。しかし、こういう司会の方が受けがいいのだろう。まあ、淡々と進行させるよりはマシなのだろう。



「それではAブロックからの試合になります!!」



 司会がそう言うと、闘技場では既に出場選手達が今か今かと待ち構えていた。勿論、その中にはルドガーさんとキアラさんがいる。



「では試合を始める前に、実況のオルランド王立学園三年生マイクです!! そして、なんと!! 今回の解説はオルランド王立学園のOGでありヴァルキリアの一人にしてお嫁さんにしたい人、No.1に輝いたセラさんですっ!!!」



 凄いなと感心していると、なんか闘技場から物凄い殺気を感じる。視線を向けてみるとルドガーさんが静かに怒っていた。



「えっと……その、くれぐれも無茶のないよう頑張ってくださいね!」



 ニコッといつもの営業スマイルをするセラさん。そのスマイルの威力は計り知れないもので会場にいたほとんどの男達が盛り上がった。


「おっとおおお!! やはり、ヴァルキリアの名は伊達ではなあああい!!!」



 前振りが長い。さっさと始めろと選手達が騒ぎ出しそうだ。それに観客も苛立ち始めている。



「さて、長くなりましたがルールを説明します。サバイバルのルールですが戦闘不能と場外負けの二つです。勿論武器はありですが殺しはダメです。ぶっちゃけ、それ以外はなんでもありですね !怪我をしても回復魔術のエキスパート達が控えてるので安心してください!!」



 そんなことを言ったらアカンて!


 ほら、見てよ!!


 ルドガーさんの顔!



 先程まで、セラさんに厭らしい視線を送っていた男達をどうやって処分してやろうと考えていた顔が晴れやかな笑顔になっている。絶対に男達を半殺しにするつもりの顔だ。俺には分かる。



 Aブロックは惨状になるだろうな……



「大変長らくお待たせしましたぁ!! それでは試合開始ぃっ!!!!」



 ついに始まるサバイバル戦。やはり、俺も男の子である。どんなバトルが繰り広げられるのか楽しみにして観戦する。



「戦鬼をやっちまええええええええええ!!!」



 どうやら数の力でルドガーさんを倒そうと何人かが結託していたようで攻撃を仕掛ける。



「ふん……小童共め! 喝っ!!!」



 だが、それも虚しく全員ルドガーさんにより場外負けとなった。やはり、人外である。あれだけの人数を一発で場外にしたのだ。やっぱり、あの人が本戦へと残るのは確定である。



「はああああああああ!!!」



 ルドガーさんの他にはキアラさんが一人無双していた。相変わらずの剣技で多くの選手を叩き伏せている。以前より、かなり強くなっているのがわかる。



「おおおおおお! なんということでしょう!! Aブロック波乱の予感かと思われたが戦鬼ルドガー選手とヴァルキリアの一人キアラ選手による無双です!! これは、あの二人が本戦へと出場は決まりですね!!」


「キアラ、強くなりましたね!」



 結果は予想通りであった。ルドガーさんとキアラさんが勝ち残り本戦へと駒を進めた。



「さて次は私の番ね」


「リズ、頑張って~」


「リズ先輩、頑張ってください!!」



 Aブロックの試合が終わり、Bブロックの試合が行われるので、出場選手であるリズが準備を始める。皆がエールを送る中、俺は尿意を催しトイレへと向かおうとした。



「ボベブビブバッッッ!」



 痺れるるるるる!!


 漏れちゃうよおおおおお!!!



「あんたは何も無いわけ?」


「がががんんんばばばばっでででで!」


「うん!」



 なして!?


 そこまでする必要あるか!?


 やばい!


 刺激されたことによって尿意が!!!


 このままだと人としての尊厳が!!!



 トイレから戻ると、既にBブロックの選手達が入場を終えていた。



「さぁ、次はBブロックです!! 先程はあっさりと終わってしまったが盛り上げてくれよおおお!!!」


「リズー! 頑張ってえ!!」


「ちょちょ、セラさん。ご友人を応援するのは良いですが解説ということをお忘れなく」


「あっ! すいません」


「ではBブロック試合開始!!!」



 Bブロックの試合が始まる。俺達は観戦しているが、正直リズが勝つだろうと予想している。



「へへっ! リズちゃ~ん!!」



 なんということだろう。リズさんに突撃する奴らがいる。見た感じだとファンなのだろうが、あまりにも無謀すぎる。



「キモい! 紫電!!!」


「うぎゃぎゃぎゃぎゃああああ!!!」



 リズの魔法により戦闘不能へと陥った。それよりも、俺が気になったのは仮面を付けた男か女かわからないが見た感じ怪しい奴。



 さっきから、あいつへの攻撃がすり抜けてるように見える。



 なんだ?


 あいつ?



 結局分からずじまいでBブロックは仮面野郎とリズが本戦へと駒を進めた。



「ルドガーさん……」


「気付いたか?」


「はい。あの仮面野郎は攻撃がすり抜けてました」


「ああ。奴の目的がなんにせよ注意をしておくべきだな」


「はい」



 俺とルドガーさんは仮面野郎を警戒することにした。不気味な奴だから警戒は怠らないようにしよう。



 次のCブロックの試合に出場するのでゲートに向かう。準備が整い、会場へと入る。外からでは分からなかった観客達の興奮や熱気が伝わってくる。



「さあ、それではCブロック行きましょう!! このCブロックではなんと勇者様がおられます!! 緋村楓選手ぅぅぅ! さあ、彼女の実力はいかに!? Cブロック試合開始!」



 えっ?


 会長いんのか?


 適当に逃げてようっと……



 俺は乱闘してる所を避けて誰にも気付かれないように逃げ回る。上手い具合に人が減ってきたら、適当に攻撃を受けて場外負けを狙おうと立ち回る。



「おっとー!? 一人コソコソと逃げ回る選手がいますね? 誰だぁあああ!?」



 くそっ!


 余計な事を喋んなよ!!



 この混戦の中、よく俺を見つけたものだ。しかし、厄介なことになってしまった。どうしようかと悩んでいたら実況が喚く。



「えっと、情報が入りました。逃げ回ってる選手はショウと言う名で……な、何ぃっ!? 編入早々、女子生徒を襲い挙句の果てには体育館を爆破させただってえええええ!! なんて野郎だ!!! クズの中のクズじゃねえか!? しかも、襲った女子生徒を脅して連れ回しているだと……!!! 貴様、それでも人間かあああああっっっ!!!」



 ふ・ざ・け・る・な!



 怒り心頭である。体育館を爆破させたのはセイレーンを討伐する為、止む無しだった。しかし、それ以外は真っ赤な嘘である。それもこれも全部ローラのせいだというのに。



「そ、そんなショウさん嘘ですよね!!」



 動揺を隠し切れない解説を務めるセラさんが言うものだから、実況のマイクが質問した。



「セラさんはショウ選手とどういったお関係で?」


「そ、それは……」



 何故か赤面するセラさん。それを見て勘違いするマイク。マイクの肩がふるふると震えると大音量で声を荒げる。



「な、ななな!!! なんとショウ選手はセラさんにまで手を出していたのかあああああああああ!?」



 やばい……



 先程まで乱闘を繰り広げていた選手が目の色を変えて俺を睨んで来たと思ったら、そのまま襲ってくる。



「死ねええええええええ!!!」


「消えろ! クズがあああああああ!!!」


「カスがああああああ!!!!」



 いやああああああ!!!



 大量の選手が襲いかかってくる。その中には学園の生徒だけでなく冒険者の人達もいた。どうやらセラさんは相当な人気があるようです。



 そんな事を考えてる場合じゃない!!



 いや、しかしこれは好機なのではと思うものの選手達は明らかに殺気立っている。これでは下手をしたら大怪我じゃ済まない。なので、作戦変更である。



「破ッッッッ!!!!!」



 ルドガーさんに及ばないが一撃で襲って来た奴らを場外へと落とした。その光景にルドガーさん達以外は目を丸くする。予想外の光景に会場中が静まり返った。



 ふふん!


 俺はつおい!!



 結果、そのまま俺は次々と選手を場外へと落とし本戦へと駒を進めた。

改訂済み

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ
OSZAR »