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嫌がらせ

 学園二日目。俺は登校していたら背後から蹴られた。いきなりの事だったので、俺はそのまま前に倒れる。



 誰が蹴ったのかを確かめるため、後ろを振り返るとローラがいた。犯人はこいつのようだ。恐らく昨日の腹いせだろう。



 絡むと面倒そうのなので、俺は立ち上がるとローラを無視して教室へと行こうとしたら、ローラに再び蹴られる。



 今度は倒れなかったが、先程の蹴りより威力があった。俺は蹴られた箇所の汚れを払うと、そのまま教室へと歩きだした。



「無視すんな!」



 ローラがまた蹴ってくる。俺は身体強化を施していたのでビクともせず、そのまま教室へ向かった。後ろで何やら騒いでいたが放置した。



 教室に着くと何人かが集まって会話をしていたが俺には関係ないので、自分の席へ着き顔を机に伏せた。



 その後にローラが教室に入ってきて教室は少し騒がしくなる。ローラは絡んでくる男達に適当に挨拶をして俺の方へと寄ってきた。



「起きてるんでしょ?」


「……」


「ねぇ!起きてるんでしょ!」


「……」


「返事しなさいよ!」


「おはよ」


「あんたふざけてんの?」


「いや、返事しろって言うから挨拶をしただけだ」


「挨拶をしろとは言ってないけど」


「そうか」


「あんた覚悟しときなさい」



 ローラはそう言い残して自分の席へと戻って行く。不機嫌そうなローラの後姿を見た後、机に伏せて寝た。



 結局、その日はローラが俺に絡んで来る事はなかった。何事もなく一日が終わって本当に良かった。出来れば明日も同じように過ごしたい。




 学園三日目。俺は昨日と同じように登校してたら背後から魔法を撃たれる。すぐさま振り返るがローラはいなかった。なら、誰がと俺は疑問に思ったがわからなかったので教室へと向かうことにした。



 俺が教室に入るとクラスの連中が俺を見てきた。おかしい、昨日はこんなことはなかった。視線を無視して自分の席に着こうとしたら男子生徒に絡まれる。



「おい、クズ!」



 いきなりクズ呼ばわりとはどういうことだろうかと顔を向ける。



「お前、ローラさんに何したんだよ!」



 は?


 こいつは一体何を言ってるんだ?


 俺がローラに何をしたって?


 何もしてないわ!


 寧ろこっちがやられたわ!



 そんなことを考えてたらいきなり腹に衝撃が起こった。いきなり、名前も知らない男子生徒に殴られたのだ。そのまま机を巻き込みながら殴り飛ばされる。



 立ち上がろうとしたら今度は背後から蹴られて俺は転けてしまう。誰が蹴ったのか振り返って見たら今度は違う男子生徒だった。



 俺が何をした?



 訳のわからないまま立ち上がると、目の前にいた男子生徒が声を荒げる。



「お前、ローラさんを襲ったんだってな!」



 今なんて言った?


 俺がローラを襲った?


 逆だろう!


 俺が襲われたんだ!



 誤解だと言おうとした時、ローラが教室に入ってくる。考える限り、最高にタイミングの悪い時にだ。教室に入ってきたローラに俺を蹴飛ばした男子生徒が声を掛ける。



「こいつがローラさんを襲ったですよね!?」



 こいつ、何を言ってやがる!



 ローラの方を見るとローラも俺の方を見てきたので目があった。しかも、その顔は邪悪なもに満ち溢れた顔をしている。



 あいつ!!


 覚悟しとけってこのことだったのかよ!


 くそったれ!



「ええ。昨日その人が私を急に襲ってきたの ! なんとか抵抗して逃げたんだけど怖くて……」



 こいつ!!


 なんて嘘を!!



「てめえ、本当にクズだったんだな!」


「最低ね!」


「こいつぶっ潰しちまおうぜ!」


「そうよ! こいつは女の敵よ!」



 クラスの連中は全員ローラの嘘を信じていた。どれだけ俺が真実を話そうとしても、きっと聞いてもらえないだろう。



 これが騎士のやることか!


 これが貴様のやり方か!!



 あまりの非道さに本気で武器を取り出そうとした。だが、そのタイミングで先生が入ってきた為に俺は怒りを落ち着かせた。



「お前ら何を暴れてんだ。ホラ、早く席につけ!」



 先生に言われてクラスの連中はグチャグチャになった机を並び直して朝礼の準備をする。その時ローラが俺の方を見てきて鼻で笑っていた。



 俺はその日様々な嫌がらせを受けた。いや、嫌がらせと言うには可愛すぎた。先生のいない所では暴力は当たり前、魔法は誰が撃ったかわからないようにする。



 陰口のようにしているが明らかに俺に聞こえるように文句を言って来る。それら全てを我慢した。以前、俺はこれ以上のことを受けたことがある。これしきのことでは俺は揺らがない。



 ただ制服を濡らしたり燃やさられるのだけはイラつく。いちいち創り直して、着替えるのは手間がかかる。幸いなことはこのクラスの連中しか、まだその嘘を信じて無いということ。



 それだけがせめてもの救いだった。だがいずれはこの嘘は広がるだろう。この調子で行方不明者を探すことなんて出来るのかと不安に思う。



 結局その日は嫌がらせを一日中受けて終わった。明日も明後日も続くのかと思えば鬱になりそうだ。

改訂済み

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