復活してキアラと手合わせ
さて、どうやら俺が寝てる間に三日も経っていたと言うことだ。そして俺は完全に回復するまで二日もベッドの上で生活をしていた。だが、その二日は地獄だった。
まずリズなのだが見舞いの品を持って来てはくれるんだがこれが酷い。疲労回復と言って変な物を無理矢理食べさせる。マズイ、辛い、臭いは耐えれるんだ。
だけど、副作用を起こす物まであった。突然笑い出して小一時間笑いっぱなしだから呼吸がまともに出来ずに死にかけた。
次の副作用は痺れだった。身体が麻痺してまともに動くことすら出来ない。その為、身体を拭くことが出来ないからリズに頼んだらセクハラと言って暴力を振るわれたりした。
理不尽だと思った。リズのせいでそうなったのになんで俺が責められなければいけないのかと全く理解できなかった。
そして、次はキアラだった。キアラはマシだったと思っていたが、奴は何故かしら俺にローブの男との戦いについて何度も語らされた。
しかもキアラが訪ねて来るたびにだ。何が面白くてそんなことを聞くのか尋ねてみたところ、強者の戦いは聞いていてワクワクするらしい。そして、何故か俺が完全に回復したら手合わせして欲しいと頼まれた。無論俺は断った。何のメリットもないのになんで戦うのかと。
そしたらキアラは動けない俺に剣を向けて来やがった。しかも割とマジで。俺はただ頷くしかなかった。
そしてソフィだが彼女は一番マシだった。ただ一つ欠点だったのは見舞いの品を持って来ては自分で食べるのだ。
丁寧にリンゴの皮を剥いでアーンもしてくれた。そしたら、ソフィは人が食べているものが美味しく見えたのかリンゴを全て自分で食べたのだ。
まあ、アーンしてくれたから良いけど……!
最後にララちゃんなのだが喋らない。そう、見舞いに来ては終始無言。ただじっと見てくる。無言でずっと見られるのは正直精神的にキツイ。俺が話しかけても短く返事をして頷くだけで会話終了。一体なんの用があって会いに来てるのかを聞いたら、泣かれそうになった。それ以降、何も言えなくなってしまった。
この二日間は美少女達が見舞いに来てくれて嬉しかったが、なんでマトモな女が一人もいないのだろう。
どうしてえええええええ!!!
ふざけんじゃねえよ!!
なんで俺の周りにはマトモな女の子がいないの?
ええ、神様よ?
俺はあんたになんかした?
なんで俺の周りにいる女の子は俺を殺そうとしてくるの??
馬鹿なの?
アホなの?
せめてさー、こうもっとお淑やかな女性現れないの?
俺さ、彼女が欲しいんだよ!
だから頑張ってんの!!!
俺を殺そうとしてくる女の子はいりません!
だからせめて俺に優しい可愛い女の子をくださいよ!!
てか、寄越せよ!!
ちくしょう!!
心の中でいるかも分からない神様に文句をぶちまけている俺の目の前にはキアラが剣を構えている。俺が完全に回復して動けるようになったので、これから約束の手合わせをするのだ。
しかも、手合わせの為ララちゃんのお父さんこと、白獅子のゼオンさんに闘技場を貸してもらっている。ついでに興味津々のゼオンさんも観戦している。
「では、本気で行きますよ!」
「いや、本気は流石に……」
「はああああああ!!!!」
もはや聞く耳持たず。いきなり突っ込んできて連続斬りを仕掛けてくるキアラ。俺は《武神》を常時発動しているため彼女の攻撃は全て見切っている。
難なく避けるがキアラから滲みでる魔力に焦る俺は冷や汗をかく。
「これならどうですか!!」
キアラが剣を大きく振るうと氷と共に斬撃が飛んで来た。氷属性使えたことに驚きつつもしっかりと対応する。
当たったら死んじゃうよこれ!?
「アイギスの盾!」
俺はアイギスの盾を使い斬撃を防ぐ。だが、キアラには逆効果だったようだ。斬撃を防いだ俺に対してキラキラとした期待に満ち溢れている眼差しを向けてくる。
「すごい! やっぱりショウさん強いです!! これなら私も全力が出せます!」
「えっ? 最初本気って……?」
「あー、あれは言葉の綾と言うやつですよ」
じゃあ、まだまだ本気じゃなかったってことかと分かる。流石の俺もこれには怒りを隠さずにはいられない。
ふ・ざ・け・る・な!!!!
「ならば俺も!! 来い、エクスカリバー!」
かの英雄、アーサー王が使っていたとされる剣、エクスカリバーを取り出す。この剣は色々と有名な剣なのだが、実際は鞘の方が有名みたいだ。昔、気になって調べたけどエクスカリバーの鞘、魔法の鞘の方が重要だったみたいである。
御託はもういいか!!
「すごいですね! その剣! 見ただけで唯の剣だとは思えません!! さぞ有名な剣なんでしょうね!」
キアラさんが目をキラキラさせながら言って来る。まるで、初めて玩具を与えてもらった子供のようなはしゃぎようだ。
「そうっすね! ただの剣ではないっすよ!!」
「やはりショウさんは凄いです!」
「じゃあ次の一撃で決着にしませんか? キアラさん!」
「いいですね! お互い最高の一撃で決着をつけるんですね!わかりました!! 私の最高の一撃をショウさんに見せてあげます!」
やる気マンマンやん……
てか、観客の皆さんも少しは止めてよ!
「あちゃーキアラの悪い癖が出てるわ」
「そうだねぇ?あーなるとキアラちゃん手がつけられないもんね?」
「ん……どっちも凄い」
「おお! 武人としては興味深い戦いだ!」
ノリノリじゃねえか!!
観戦している人達に目を向けていたら、キアラの方から冷気を感じる。視線を戻してみたら、キアラが真っ直ぐ剣を上に掲げており周囲には白い霧のようなものが発生している。そして、感じてくる威圧感で肌がピリピリする。
「あの、ゼオンさん! ここ大丈夫なんですか??」
「うむ! この闘技場は結界を何重も張ってある為安心してくれ! それに神級の魔法を最低でも五十発は与えないと壊れないから大丈夫だよ。ショウくん!」
それを聞いてキアラの方から感じる威圧感がまして、ますますやばくなって来た。仕方ないけど一振りで数百もの敵を薙ぎ払うエクスカリバーの力みせてやろう。
「氷雪一刃!!!」
キアラが技名を叫びながら冷気を纏った剣を振り抜く。振り下ろされた剣から周囲を凍てつかせるほどの冷気を纏った水色に輝く閃光が放たれた。
「うおおおおおお!! エクスカリバアアアアアアアア!!!」
俺も負けじとエクスカリバーを振り抜く。そして黄金に輝く閃光と冷気を纏った水色の閃光がぶつかる。
「はああああああああああああ!!!!!」
キアラがさらに魔力を込めると威力を増した。そして段々と俺の方に閃光が押される。
やばっ!!!
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!」
俺も負けじと魔力を込める。そして、均衡を取り戻した閃光は爆発へと変わる。爆煙が闘技場を埋め尽くし俺とキアラの姿を包み消した。
今じゃああああ!!!
この好機を逃がすまいと爆煙の中を突っ切り、俺はキアラの首筋に剣を突き立てる寸前で止める。
「私の負けです……」
「はぁ~疲れた……」
「それにしても凄いですね、ショウさん!! 私も久しぶりに本気が出せましたよ! それよりさっきの剣もう一回見せて下さいよ!」
「それなら私も拝見させてもらっても良いかね?」
「いいっすよ。後で返してくださいね~」
そう言って俺はエクスカリバーをゼオンさんとキアラさんに渡す。二人は子供のように目を輝かせながら剣を見ている。
「ショウ凄いわね! キアラの本気に勝つなんて!!」
「本当だよ~キアラちゃんすっごい強いのに勝っちゃうなんて~!」
「ショウ強い!」
「それほどでもないっすよ」
正直超嬉しい!!
女の子にこんなに褒められるなんて!
くぅーやってよかったぜー!!
改訂済み