表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

89/330

第82話 所信表明

新たな仲間が加わります!


ハイレンド伯爵家の当主であるロミック様主催の選考会が行われると知って参加した俺達。

その選考結果は俺達【トラストフォース】に加わる事になり、ハイレンド伯爵家のご令嬢にして、『付与術士』のギフトを授かったエレーナ様をパーティーの一員として迎え入れる流れになった。


ギルド内——————


「おいおい見ろよ。あの方々が例の……」

「ハイレンド伯爵家のご令嬢様が冒険者になるって話が現実になるとはな……」

「ウチのギルドに貴族出身の冒険者っていたっけ?」

「確か、あの人達も法衣貴族の出身って話を聞いた事あるぜ……」

「そんであの白を基調にした衣装をしているのが……」

「あぁ……。あの方がその……」


「エレーナ・ハイレンド様だ」


ギルド内にはロミック様が護衛数名を連れて現れ、その隣にはエレーナ様がいる。

今日はエレーナ様を正式に俺達のパーティーに迎え入れる準備をするために来ていただけたのだ。

ロミック様やエレーナ様を一目見ようと興味半分で来ている冒険者がギルドに来ているため、室内はほぼ満室だ。

その中にはBランクパーティー【ディープストライク】のケインさん達や同ランクの【ブリリアントロード】のウィーネスさん達もいる。


「お待ちしておりました。ご案内させていただきます」

「ありがとう」


ナミネさんの案内でギルドマスターの部屋へと案内された。

部屋にはカルヴァリオさんとエレーナ様を迎え入れる準備を整えた俺達【トラストフォース】の面々だ。


「【トラストフォース】の皆々よ。此度は『付与術士』のギフトを授かった我が娘を迎え入れるための集まりに来ていただき、誠に感謝する……」

「いえ、滅相もございません!……ただ、今一度ご確認させていただきたいのですが、本当に我々のパーティーに迎え入れるって事でよろしいのでしょうか……?」

「あぁ、エレーナ本人からもしっかり確認を取ってある。エレーナ……」

「はい……。では改めまして……」


ロミック様が俺達に頭を下げてお礼を言った後、本当に加入を決めていただけると仰った。

加わって欲しい気持ちがあるのは事実だが、いざ直面してしまうと少し身構えてしまう。

そこにエレーナ様が前に現れた。


「わたくし……。エレーナ・ハイレンドは冒険者パーティー【トラストフォース】の一員として活動していく事をこの場で決断いたしました。『付与術士』のギフトを授かった一人の冒険者として邁進していく所存でございますので、今後ともよろしくお願い申し上げます」

「よろしくお願いします……」


エレーナ様が淑女らしいお辞儀をしながら改めて挨拶をしていただいた。

ロミック様や護衛の皆様も微笑ましい様子だった。


「それから皆様。わたくしより一つお願いがございます……」

「何でしょうか?」


するとエレーナ様は俺達に何かお願いするような表情を見せた。


「わたくしも晴れて一人の冒険者として本格的な行動をする事になりますゆえ、呼称や接し方はフランクにしていただきたいのです。ですからわたくしの事は気軽にエレーナとお呼びください。冒険者としては駆け出し同然ですので!」

「はい……、ってえぇ!エレーナ様!?」

「言ってるそばから畏まってますわ!」

「申し訳ございません。し、しかしですね……」

「……」

(大丈夫なのかな……?)


エレーナ様は冒険者として活動するに当たり、何と自分への接し方は砕けたモノで一向に構わないようなセリフを言い出していた。

パーティーに迎え入れる事ができたのは嬉しく思っているのは今でも本当だが、伯爵家のご令嬢に気安い態度で接するのはどうかと思い、思わずロミック様に「よろしいのでしょうか?」と暗に伝える視線を送ると、その表情は鷹揚な様相だった。

こりゃ受け入れざるを得ないと判断した。


「分かった。これからよろしくね……。エ、エレーナ……」

「ハイ!よろしくお願いします!」


こうして、俺達のパーティーにハイレンド伯爵家のご令嬢であるエレーナ様こと、エレーナ・ハイレンドが仲間になった。


「メンバーの一員となるに当たり、わたくしのステータスをお見せしますね」

「ありがとう。俺達も見せるよ!」


エレーナは自分のステータスプレートを俺達に開示してもらい、セリカやミレイユ、クルスや俺も同じく共有し合う事にした。

俺達がエレーナのステータスを確認してみると……。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


名前:エレーナ・ハイレンド

性別:女

種族:ヒューマン

属性:無

年齢:20

ギフト:付与術士

冒険者ランク:C


スキル:

〈ベーススキル〉

【脚力強化】

脚力を上げてスピードとキック力を上げる。

【気配探知LV.1】

モンスターや人の気配を半径100M以内の範囲で察知できる。

【気配探知LV.2】

モンスターや人の気配を半径500M以内の範囲で察知できる。

【魔力探知LV.1】

モンスターや人の気配を半径100M以内の範囲で察知できる。

【魔力探知LV.2】

モンスターや人の魔力を半径300M以内の範囲で察知できる。

<ジョブスキル>

【支援魔法LV.1】

味方の身体能力や魔法の強化ができる。

【付与魔法LV.1】

対象の相手に状態異常の耐性などを付与できる。

【付与魔法LV.2】

LV.1より強い付与魔法を使用できる。

【回復魔法LV.1】

魔力を込める事で傷を癒す事ができる。状態異常や毒も治せる。

【回復魔法LV.2】

魔力を込める事でLV.1より効率良く傷を癒す事ができる。

【聖属性魔法LV.1】

聖属性の魔法を使用できる。邪悪な瘴気を纏った魔法や影響を打ち消す作用もある。

【聖属性魔法LV.2】

LV.1より強い聖属性の魔法を使用できる。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


「予想通りのギフトらしいスキル構成ですね~」

「【支援魔法】以外はどれもLV.2まで行っている」

「【聖属性魔法】か~。凄そう~」

「この【聖属性魔法】って、どんな魔法なのか聞いてもいい?」

「【聖属性魔法】とは、名前の通り邪悪な要素を含まれた事象に対し、神聖な力を込めて作用させる魔法です。もちろん、相手に物理的なダメージを与えるモノもございますが、純粋な魔法攻撃には何枚か劣りますね……。聖職者系のギフト持ちでも、少ないですがいますよ」


スキルの構成はいかにも聖職者系ギフトらしいモノだが、加えて【聖属性魔法】がどんな魔法なのかも教えてくれた。

攻撃的要素を含めた魔法も含まれており、目の前の魔法攻撃と正面切ってぶつかれば、魔力量の差次第で押し切る事もできれば、押し負ける事もあると話してくれた。

何より、邪悪な瘴気要素を持っている【黒魔術】、【死霊術】、【呪術】などに対する強力な対抗手段となっている。


「それにしてもトーマさんは『何でも屋』と言うギフトに違わず様々なジョブスキルをお持ちなんですね~」

「ま、まぁね……」


俺は苦笑いを浮かべていたが、改めて見せ合った俺達のステータスにも変化が現れた。

俺はベーススキルである【気配探知LV.2】と【魔力探知LV.2】や、『シーフ』が会得する【気配遮断LV.1】や【トラップ感知LV.1】を会得している。

更には【風魔法LV.1】や【炎魔法LV.1】、【武術LV.1】までも会得しており、本格的に『何でも屋』になってきたなと感じつつある……。

セリカは【気配探知LV.2】と【魔力探知LV.2】に加えて、【風魔法】の派生版と言われている【雷魔法LV.1】も習得している。

ミレイユは新たに【爆撃魔法LV.1】と言うスキルも習得しており、本人曰く、「【炎魔法】の派生版であり、破壊力に特化した魔法」との事だ。

クルスは【武術LV.1】、【気配探知LV.3】と【魔力探知LV.3】、【トラップ解除LV.1】と【気配遮断LV.3】を会得している。

未開の地でも安定感が増してきたな……。


それぞれのステータスを見せ合うのが終わると、エレーナの希望で今集っているギルドの冒険者の皆様に挨拶がしたいと言っており、俺達も同伴する形で付いていく。

ギルド内で広い面積をしている飲食スペースの机や椅子を取り払い、演説の場らしき空間を確保すると、エレーナはその場所で冒険者達を見渡せるようなポジションに立った。

俺達はすぐ後ろで直立不動しながら見守る。


「ごきげんよう。皆様もご存じでしょうが、改めて自己紹介させていただきます。わたくしはハイレンド伯爵家長女であり、修行と留学を経て、本格的に冒険者デビューをさせていただく事になりました、エレーナ・ハイレンドと申します。今日を以て、わたくしは【アテナズスピリッツ】に籍を置く冒険者パーティー【トラストフォース】へと加入させて頂く結果となりました!」


エレーナが挨拶を交えて事の経緯を伝えると、冒険者達は歓喜の声を上げていた。

俺達は礼儀正しくお辞儀をしているが、心なしか、歓声は応援の色が強いように思えた。

冒険者デビューを喜ぶ者、羨ましい気持ちを少なからず出す者、不安を感じている者まで様々な反応が渦巻いている。


「私から言える事がございます。トーマさん率いる【トラストフォース】の皆様は……。これからも伸び続け、全員が一人一人を心から思いやれる人間性と精神性を持ち合わせ、互いに高め支え合える素晴らしいパーティーであると信じて疑っていません!だからこそ、私は今回の決断をいたしました!皆様もどうか我々の活躍と飛躍を信じ、応援いただければ幸いでございます!今後ともどうぞよろしくお願いします!」

「「「「……」」」」


エレーナの心からの演説を聞いた冒険者達は固唾を飲んだ後にその場で暫く固まった。

聞いている俺達もだが、ここまで信じてくれている事に内心驚いた……。

それからすぐに……。


「「「ウォオオオオーーーー!エレーナ様!!」」」

「我々も心から応援申し上げます!」

「おめでとうございます!」

「【トラストフォース】の皆さん!エレーナ様をよろしく頼みますぜ!!」

「何かあったら俺らも手を貸すぜ!」

「皆様、ありがとうございます!では、【トラストフォース】のリーダーであるトーマ・クサナギさんからも決意表明をお聞かせ願いたく思います!どうぞ!」

(え~~~~!)


エレーナの演説を聞いて、冒険者達は歓喜とも声援とも言えるような声をあげていた。

そこで不意打ちのように俺へ何か言って欲しいような要望をされてしまって焦った。

そこには知り合ったケインさんやウィーネスさん達も「何か言ってやれ!」見たいな無言のメッセ―ジとも言える笑顔を向けられた。

ここまで来たら言うしかないと思って俺はマイクを受け取って前に出た。


「皆様、顔見知りの方もいれば私を初めてお目にかかるかと思いますので、改めて申し上げます。ご紹介に預かりましたトーマ・クサナギと申します。冒険者パーティーのリーダー格を務めております。選考会の結果を通して、ハイレンド伯爵家ご令嬢であり、我々のパーティーの一員となったエレーナと共に冒険していく事になりました!」


俺はランクも年齢も上であろう冒険者の数々を目の当たりにしながら、思っている事を伝えられる限り伝えていく。


「伯爵家のご令嬢でありながら、冒険者を志すエレーナと共に活動していく事になりましたが、私は彼女を一人の冒険者として迎え入れる決心を固めました。『付与術士』と言うギフトを授かり、世の為人の為に頑張りたい想いを受けて、互いに守り支え合いながら、我々も更なる活躍と発展を目指していく所存でございます!だからこそ、我々も日々の成長や勉学を止める事無く邁進しながら共に冒険者としての境地を進んでいきたく思います!だからこそ皆様も、今後のエレーナの!そして、信じて加入した我々【トラストフォース】の今後の活躍と繁栄を願っていただければ幸いにと存じます!今後ともどうぞ、よろしくお願い申し上げます!」


俺は言える限りの風呂敷を広げた……。



「「「「「「「「「「「「ウォオオオオーーーー!」」」」」」」」」」」

「よく言ったトーマ!これからも期待してるぜ!」

「エレーナ嬢の事、よろしくお願いします!」

「頼みますぜ!トーマさんよ!」

「は、はぁあ……」


聞いていた冒険者達も、エレーナが俺達のパーティーに入れる事に対して賛成するかのように賛美の声を上げていた。

ケインさんやウィーネスさん達も拍手しながら微笑ましい様子だった。

そうして俺達はそそくさとしながらその場を去った。


「トーマさん!皆さん!お付き合いいただきまして感謝します!」

「いえ、こちらこそ……」

「トーマさんのお言葉も、わたくしが先に言った演説もあって受け入れてくれたようなので、聞いていた皆様も響いたかと思いますよ!」


別室で俺達はエレーナと話し合っていた。


「改めて申し上げますが、今後ともよろしくお願いいたします!」

「「「「よろしくお願いします!」」」」


エレーナは改めてお礼を言っていた。

その振る舞いにやましい事、ましてや後ろめたさが何一つない丁寧なお辞儀を見て、その誠実さを感じずにいられなかった。

こうして【トラストフォース】に新たな仲間が加わるのだった。


最後までお読みいただきありがとうございます。


面白いエピソードを投稿できるように頑張っていきます!

ブックマーク&評価をお待ちしております!


評価はページの下にある【☆☆☆☆☆】をタップして頂ければ幸いです。


『面白かった』『続きが読みたい』と思っていただけましたら、下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします!


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直な感想で構いません。

ブックマークもしていただければ、とても嬉しく思います!


是非ともよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ
OSZAR »