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守り神の情報を集めてみた

「今日は村人達の治療をしつつ、ガーゴイルの情報を詳しく調べてみるぞ」



「わかりました」

「ぶ〜」



朝起きて、今日の予定を確認するためセシリアの部屋に集合した。

シークは寝ぼけ気味だったが、何とか引っ張ってきた。



「ガーゴイルの証言はたぶん正しいと思うけど、村人達はどう思っているのかが知りたいからな。シーク、ちゃんとやってくれよ」



「は〜い」



やる気なさそうだな。大丈夫だろうか?

無理言って、デュークかハピネスを連れて来るべきだったな。



「村の人達の治療が一段落したら、ティールちゃんの所に一度行きませんか? 身体のことも心配ですし」



「ガーゴイルのことを一番知っていそうだし、良いと思う」



その後にガーゴイルに会いに行くということで話し合いは終了。



村長の奥さんに朝食をご馳走になり、昨日と同じ場所に集まって貰い、治療をする。



「ありがとうございます。セシリア様」



村人で特に男はセシリアに治療して貰いたいのが多いのか、長蛇の列が出来ている。

下心がありそうな奴は俺の魔法でのしてやりたくなる。



「お大事に〜」



「ありがとうシークくん」


可愛らしい笑顔を浮かべるシークに薬を渡された女性はうっとりしている。

シークの方は若い女性が多いようだ。



「悪いのう。ヨウキさん」「いやあ〜、助かるのう」「癒されるわい」



俺は何故か年寄りが多い。別に嫌というわけではないが、何か負けてる気がする。



「ははは……無理せずに療養してくださいね」



回復魔法かけると、気持ちよさそうな声を出す老人の皆さん。

温泉に浸かるとこんな声出るよなあ。



そんなことを考えていると、ガーゴイルについての情報収集のことを思い出した。

年配の人って昔の話を知っている方が多いし、チャンスじゃないか。

というか、俺にしか年配の人来てないし。



「すみません。村の守り神について何か知っていることありませんか?」



「村の守り神? ……ああ、知っているよ。林の奥にある悪魔像のことだろう。ティールちゃんが熱心にあの像のことを崇拝しているからねぇ。村の皆知っているよ」



どうやらティールちゃんは村の有名人のようだ。

狂信者みたいな感じが悪目立ちしているのだろう。



「どうして、村の守り神と呼ばれているかは知っていますか?」



「さぁ……、それはわからないねぇ。ただ、あの悪魔が村を救ってくれたっていう伝説は残っているねぇ。でも、誰があの石像を作ったかがまったく記録に残ってないんだよ」



それはそうだろう。あの石像自体が村を救った本人みたいなものだし。

もっと詳しい情報は残っていないのか。



「でも、それしか情報が残っていないのに、ティールちゃんは何であんなに守り神様に執着しているんですか?」



「ああ、それはねぇ、昔はあんなに信じちゃいなかったんだよ。時々、掃除や供え物を持って行くぐらいだったさ。でも、あの娘がレッドファングに襲われたことがあってねぇ」



レッドファングとは狼のような姿で、獲物の血で口が真っ赤に染まっている様から名がつけられた魔物だ。


しかし、戦闘力はあまりなく、自分より弱い生物ばかり狙う、怖い名前の由来があるのにランクはEという残念な魔物だ。



林の方でもレッドファングが出ていた時期があったんだろうな。または、群れからはぐれたか。



「ティールちゃんは当時七歳で身体が弱かったのもあってねぇ、もう駄目だって思った時に村の守り神が助けてくれたんだとか」



あいつ、その頃からティールちゃんのこと助けたりしてたのかよ。



「へ、へぇ〜。それで誰か他に守り神から助けて貰った人は?」



「いないんじゃないかい? そもそも村の皆あの像を気味悪がって、近づいたりしないからねぇ」



「そうですか」



その後、他の村の老人達に質問をしてみたが、似たような回答が返ってくるばかりだった。



昨日で軽傷者の治療は終えているので、早く治療が終わった。

一度、集めた情報を整理するために集合したのだが。



「すみません。守り神について質問しようとしたのですが、私個人に対する質問を大量にされてしまいまして……」



「僕も〜……」



申し訳なさそうにしている二人。

まあ、仕方ないだろう、

若い世代の村人しか行っていなかったし、聞けたとしても知らない人が多かったかもしれないしな。

というかセシリアをナンパしていた奴はとりあえずぶっとばしたい。



「……ヨウキさん? 何か変なこと考えてませんか」



「セシリアに言い寄っていた奴をぶっ飛ばそうかなと」



「治療が長引くので止めてください!……ところでヨウキさんは何か情報は集まりましたか?」



セシリアに釘を刺された。仕方ない、セシリアにばれないように……って今はそんなことは関係ないか。

村の老人達から集めた情報を二人に話した。



「なるほど」

「へ〜」



セシリアは俺が仕入れた情報を真面目に聞いてくれたが、シークは興味なさげだ。

こいつはもう、治療以外に期待しないようにしよう。



「昨日、ガーゴイルからの情報と大差ないな。村を襲ったっていう記録も残ってないみたいだし。無害じゃないかな」



「確かにそうかもしれないですが、私は念のためにガーゴイルさんと話してみたいです」



疑い深いかもしれないが、立場上仕方ないか。

昨日、会いに行くって約束したし。



「その前にティールちゃんに会いに行くんじゃないの〜?」



「「あ!」」



すっかり忘れていた。まさかシークに言われて思い出すとは。



「じゃあ、シークはティールちゃんの所に行ってくれるか? もしガーゴイルと話している時に鉢合わせたらやばいし」



「は〜い」



ティールちゃんをシークに任せて、俺とセシリアはガーゴイルの元に向かった。






「貴様、我輩との約束を破ったな。誰にも話すなと言ったであろう!」



社に着くなり、セシリアに正体を話したと言うと、ガーゴイルはすぐに石像のふりを止めた。

そして、直ぐに文句を言い出した



「貴方がガーゴイルさんですね。私はセシリアと申します。山賊による襲撃で村人に軽、重傷者が出たので村長さんから依頼を受けて来ている僧侶です」



「ほう……昨日そこの魔族の小僧が話していた人間の娘か。我輩に何か用か? 」



小僧って。まあ数百年生きてる奴からしたら二十一歳の魔族なんて小僧か。



「貴方に村のことについて聞きに来ました。本当に村を襲う気はないのですか?」



「昨日、そこの小僧に話したはずだ。我輩は村を襲う気もないし、救う気もない。ここを住家にしているだけだ」



昨日と同じ回答だ。やはり放っておいて大丈夫だろう。

セシリアも事前情報と実際に話しての情報が一致しているからか、納得しているようだし。

あ、一つ聞きたいことあったな。



「なあ、ティールちゃんが七歳の時にレッドファングから助けたって聞いたんだけど……」



「む……それがどうかしたか?」



「ロリコンって言葉わかるか?」



この世界じゃないかもしれない。

というかないだろうな。



「知らんな」

「私も知りません」



意味教えたら怒るだろうなあ。

まあ、ガーゴイルは恩を返しただけだろうし、別に深い意味はなかっただろうからいいか。



「そうか、ならいいんだ」



「なんだ? 気になるではないか。教えろ、小僧」



「仕方ないなあ、これは俺の前世の世界の言葉でな……」



ロリコンの意味を二人に教えると想像通りガーゴイルは怒り、俺との戦いが始まった。


戦い中、我輩にそんな趣味はないと何度も断言していた。

セシリアは深いため息をついて、戦いを止めようとせずに社に座り込んで戦いの顛末を見守っていた。



余計なことを言うんじゃなかった……。

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