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#039 授業参観(上)

遅くなり申し訳ありません。

誰視点で書けばいいか分からず…

 とある日曜日の朝。

 マコトは幼稚園バスに揺られていた。もちろんスズカも一緒だ。


 しかしそこには見慣れない人物たちもいる。


 バスの後方に大きなお友達。

 アカリにミオ、ミツヒサ、そして他の子どもたちの親御さん。


 子どもたちはいつも通り幼稚園の体操服を身に着け、親たちはスーツやオフィスカジュアルといったTPOを意識した装い。お母さま方のお化粧はバッチリ決まっている。


 今日は何の日かというと、日曜参観日。

 子どもたちが幼稚園でどのように過ごしているのかを親御さんに見てもらうため、日曜日の午前中を使って授業の様子を公開する。


 普段の様子を見る、加えて子どもが親から自立することを幼稚園の教育方針の一つとして掲げているため、あくまで()()


 目的を考えれば平日に、そして子どもたちに気取られないように行いたいのだが、現実はそう上手くいかない。


 平日日中は仕事がある親が多く、希望者多数の日曜日の午前に。

 そして子どもと別々に幼稚園まで来て欲しいが、路上駐車による近隣住民への迷惑を考えて、一緒の通園バスに乗車。

 また、一度に全ての学年がやってしまうと幼稚園内がごった返すことになるため、この日は年少組だけを対象にしている。


(参観日も大変なんだな……)


 マコトはそんな大人たちの裏事情を想像しながら、子どもたちの様子を伺う。


(……みんな5割増しでお利口じゃないか?)


 いつもはいない親がバスに一緒に乗っているせいか、お行儀良くしている子が多く見られる。

 普段は窓に張りついたり椅子に上っている子も、今日は大人しくちょこんと座っており、その様子から親たちは我が子の成長を垣間見ていた。


(こうやって人目を気にすることを覚えていくのかな……)


 マコトはいつもと変わらない(席を詰めて来る)幼馴染の隣に座り、いつもと変わらない(ぼーっとした)様子で呑気なことを考えていた。




 年少組だけが登園するため乗せて回る子どもが少なく、さらに日曜の朝で道が空いていたこともあって、バスはいつもよりも早く着いた。


 バスから降りた子どもたちは、後ろの親たちをチラチラと気にしながらも自分たちの教室へと向かっていく。

 スズカとマコトは自分たちの親に手を振って、いつも通り(手を繋いで)自分たちのクラスへと歩いていく。


「相変わらずラブラブねぇ~、あの二人」

「ホントね……」

「うむ……」


 ミオの言葉に思わず笑みを浮かべるアカリと、名状し難い表情のミツヒサ。

 マコトのことは息子同然のように大事に思っているが、(スズカ)が離れていく姿は見たくないという複雑な父親心。


「みーくんが寂しそうなので私が手をつないであげましょう。エスコートをお願いしますわ」

「えっと……」

「まぁこっちも相変わらずよね……」


 手を差し出すミオと、周りの視線を気にしながらも手を取るミツヒサ。

 その様子に、アカリはやれやれといった表情をするのだった。




 親たちはそのまま幼稚園のエントランスへと向かい、受付を済ませる。


 渡されたプリントに一通り目を通すと、人の流れに沿って幼稚園の二階へと移動する。ちなみに年少組は一階、年中組と年長組は二階に教室がある。


「結構たくさんあるね……」

「うん……」


 ミオとアカリとミツヒサは教室の一つへと入ると、そこには大量の写真が壁一面に展示されていた。


 写真販売。

 陽ノ森幼稚園では先生が撮影した子どもたちの写真を、授業参観などの日を使って販売している。


 今回は入園式、春の遠足、農業体験や園内での日々の様子が張り出されているのだが、ミオとアカリはその量に面食らう。

 親たちは我が子の姿を見つけようと、写真を食い入るように見つめ、黙々と番号をメモしていた。


 ミツヒサは邪魔になりそうということで、早々に自ら教室を出て廊下へ。他にも似たような状況の男性(パパ)陣がおり、苦笑いをしながら会釈をしてその集団に加わり窓の外を眺めた。


 一方母親たちは予算と格闘しながら番号を追加していく。

 他の幼稚園ではプロが撮影するため少々お高いが、陽ノ森幼稚園では撮影班カマタ・メグロ・ラクマ努力(マンパワー)によって半分以下ほどに抑えられている。


「一枚50円ってありがたいわね~」

「そうね、先生方には感謝しないと……」


 その言葉を聞いた撮影班末っ子(ミク先生)はない胸を震わせ、これからも頑張ろうと意気込んでいたのはまた別の話。


「まーくんみんなの人気者だね~。いっつも誰かにまとわりつかれてる」

「ほんとうね」


 アカリは息子の映る写真を見て、どこか誇らしそうに微笑むと同時に少し申し訳ない気持ちになる。


(もっと私もまーくんに構ってあげられたらな……)


 そんな親友の気持ちを察したのかミオが眉を顰めて口を開く。


「むむむ、これはすーちゃんもうかうかしてられないんじゃないのかな~」

「ふふっ、大丈夫よ。すーちゃんとっても可愛いんだから」

「え、そう? 私に似て可愛い?」

「うん可愛い可愛い。それにほら、すーちゃんと一緒にいるのが圧倒的に多いよ?」


 マコトが映る写真へのスズカの参加率は約9割5分といったところか。他の追随を全く許していない。

 次点で後藤さん家の娘さん(シホ)だが、どちらかというとスズカと一緒にいることで映っているようだ。


「すーちゃんすごい頑張ってるよ」

「さすが我が娘だわ!」


 子どもたちは幼稚園でも相変わらずのようだと、母親たちは笑みをこぼした。




 一通り写真をチェックし、さらに見直しも終えた二人に声がかかる。


「あ、ミオさん、アカリさん、おはようございます」

「「おはようございます」」

「マユミさんは写真はもう?」

「ええ、バッチリです」


 マユミ(シホの母)はミオの問いに満足そうにうなずく。

 そしてミオとアカリに合流し、共に教室を出る。


 廊下で待っていたミツヒサもマユミと挨拶を交わして合流し、一行は下で遊んでいる子どもたちの様子を見るため移動する。


 ミツヒサは仲の良い母親たちの一歩後を付いていく。

 どうやらマユミの夫(名は陽一郎(ヨウイチロウ))は年長になる長女と一緒にお留守番しているそうだ。


(来年以降は私も娘たちとお留守番かな……)


 うれしいような、スズカの幼稚園での姿が直接見れず悲しいような、名状し難い表情をするミツヒサだった。


読んでいただきありがとうございます。


幼稚園の授業参観がどう行われるのか分からずひたすら調査…。

結局よくわからなかったので、細かい部分はサラッと流してもらえると助かります。


次回は入園式あたりの話を書いてた頃から出そう出そうと思っていたキャラがようやく。登場するまでだいぶかかってしまいました…。


改稿履歴:

2021/06/13 22:33 通園時の服装を体操服に変更しました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 今更カメラ担当の先生方の名前に気が付きました。3人の名前の一文字目をつなげると…?
[良い点] さすがすーちゃん! まーくんの隣は誰にも渡さないっていう意志が伝わってくる。 [気になる点] すーちゃんはあっち、まーくんはこっちって言って引き離して、すーちゃんが絶望顔した後に、冗談よっ…
[一言] このくらいだと趣旨なんてわからずにお母さんにベッタリになっちゃう子とかいないんですかね?もう結構賢いのでしょうか……
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