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45.女子高生(おっさん)とお嬢様の秋葉原巡り-②

あらすじ部分にも記載しましたが

この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。



「ーーところで、アシュナ……」

「えーと……なんですか? ……めらぎ」


 互いに呼び捨てになり、更に仲睦まじくなっためらぎとショップ巡りをしていると難しい表情をして質問してきた。


「先ほどから【らぎいちゃん】という方とよく間違えられるのですけれど……ご存知かしら?」

「あ、うん。えーと……」


 オタク共がめらぎを見て言っていたのは、この時代ではつい最近始まったオリジナルアニメ【魔法少女マジカヨ☆マジカヨ】に出てくるキャラクターだ。少女に魔法の力を与える女神【アスナロッテ】の従者で高潔でプライドの高いお嬢様タイプという設定でメインの魔法少女達を差し置いて人気NO2の大人気キャラ。

 おっさんの時代では終わって20年くらい経っていたので失念していたが、確かにめらぎに似ているかもしれない。ちょうどポスターが貼ってあったので見せてみた。


「……ほら、この娘です」

「………確かに似てはいるかもしれませんが……これは絵ではないですの……」

「めらぎ、そーゆー時は『絵じゃん』で」

「絵じゃん」


 と、いう他愛ないやり取りをしながらグッズや本を見て回る。どの漫画やアニメも既に内容を知っているために目新しさはない、これはタイムリープにおける唯一のマイナス面と言っていいだろう。『なら、見た事ないアニメとか見ればいーじゃん』などと思うかもしれないが、おっさんになると『新しいものに取り組む』という精神力がなくなってしまうためにそれが不可能になるのだ。

 故に、めらぎにはおっさんの知っている外れのない無難なアニメだけをお薦めした。いわゆる初心者向けだ。


「……では、アシュナの薦めてくれたこれらの円盤と書冊すべて買いますわ!」

「全部!?」

「お……お会計……529800円になります……」


 めらぎはお年玉と小遣いの使い処がなく、500万以上の貯金があるから大丈夫と言って悠々と支払っていた。さすがお嬢様スケールが違うと思うと同時に、アンダーグラウンドに引きずり込んだ罪悪感を抱いた。


「ところでアシュナ、この作品の関連グッズも欲しいのですけれど……」


 照れながらめらぎが手に取ったのは先ほどの『マジカヨ☆マジカヨ』だった。


「あ……えーっと、これは絵は可愛らしいんだけど実は上級者向けで……7話から魔法少女達が死んだりするんだけど……」

「……そうなんですの? これには来週5話放送と書いてあるのですが……」

「!!」


 しまった、そういえばこの時代ではまだ放送してなかったと口を塞ぐ。


「でもいいんですわ、この【アスナロッテ】というキャラクターも少しアシュナに似ていますし……もちろん、アシュナの方が断然、美しいんですけれどね。貴女に初めて教えて頂いたものが欲しいのですわ」

「めらぎ……じゃあ、これは私からプレゼントさせて。一緒にここに来た記念に」

「アシュナ……」


 初めてのプレゼントがアニメグッズなんてセンスゼロもいいとこだが、めらぎは喜んでくれた。好きなものを共有できる相手がいるっていいな、教えてよかった、としみじみした。


「と……ところで……その……け、汚らわしい中年の欲望に少女が蹂躙されるというコンテンツとかもあ……あるんですの……?」

「……」


 それは超上級者向けだ。

 予想以上に沼に落ちていきそうなめらぎを見て、これ以上引きずりこんでいいものか迷った。


                   〈続く〉

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