初めての動物と、たぶん食べれるであろう、初めての果物発見!
迷子紐探索を初めて小川の大石と3往復した頃、オレはこの世界に来て初めて動物を発見した。それも木になった果物を食ってる動物だ。
そいつはナマケモノに似ているが、明らかにナマケモノとは異なる生き物だった。大きさも形もナマケモノなんだが、何が違うかと言うと、頭の中央に黒い角が生えていることと、体毛の色が真っ青、ブルーをしている点だった。な、明らかに異世界動物だろ?
オレはそいつを見つけた瞬間、思わず涙ぐんだね。良かった、虫だけじゃないんだ、この世界!ってね。
そいつは角と色以外は本当にナマケモノのようだった。木の上、この世界の木は樹齢が高いんだろう、結構な太さのものが多かったんだが、そのうちの一本にソイツはいた。長く伸びた枝の一つに、本当にナマケモノのように、お前、重力感じてんのか?ってぐらい、仰向けのような状態で木にぶら下がっていたんだ。
ぶら下がっていたって言うには語弊があるな。一応、そのナマケモノはガッシリとした太い爪・・・、爪だよな?あれ?指?爪のような指のようなもんでしっかりと枝につかまっている。4本足だが、うち一本は果物をつかんで口許に寄せてムシャリムシャリと食べている。残りの3本で枝からぶら下がっているんだ。
良かった、この世界の動物も4本足か。そうじゃない動物もいるのかもしれないが、とりあえず、5本や10本といったたくさんの足を持つような動物じゃなくてホッとするオレだった。見た目ももしかしたらソイツのように、オレが暮らしていた前の世界の動物に似ているものばかりかもしれない。
オレはソイツが無心で食べている姿を木の下からじぃっと眺めていた。そいつは動きもナマケモノと同じで非常にゆっくりとした動きだった。こいつ、何の警戒心もないな、ってことはこの世界というか、この辺りは安全圏か?肉食動物はいない?
いや、安易にそう決めてしまうのは良くない。見ろ、あいつの派手さ加減を!いかにも毒あるよって色だろ?見た目の可愛さに騙されるな、オレ!それがヤツらの手だ!オレは自分にそう言い聞かせた。
この世界で初めて虫以外に見る生き物、それもナマケモノに似ている動物を発見して興奮したのと同時に嬉しかったんだろうな、オレ。
ナマケモノ、もうナマケモノでいいや、は、オレの気配に気づいたのか、食べるのを止め、果物を片手、前足?に持ったまま、こちらをやっぱり緩慢な動きで見た。
オレとナマケモノ、目が合っちゃったよ。急に動きが速くなって襲ってきたりしないよな?
オレは一瞬、異種格闘戦を意識したが、ナマケモノはナマケモノだったらしい。また顔を戻してムシャリムシャリと果物を食べ始めた。
オレはナマケモノが美味しそう(たぶん)に食べてるそれを見て、それはオレが食べれる食べ物であると確信した。だって、まさにリンゴそのものだったから。
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2021.8.25 Wed. 2:51 初投稿