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リアル異世界転移 お約束のチートはないんかい!  作者: 木浦木ロロ
ここは異世界?
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やることリスト、1個増える

はぁーっ。


火織(ひおこ)しに失敗したオレは、脱け(がら)のようにヘタリ込んだ。すげぇショックだった。


「そう簡単にはいかないもんだな、やっぱ。サバイバルを甘く見てたわ、オレ。」


オレは目の前の横木と、その横に放り投げられた枝を見やった。


フーッ。


ため息が何度も出てしまう。ライターの1個でも、いやせめてマッチでもあったら良かったんだがな。だがオレはここでマッチと言った瞬間、あるとこに思い至る。


火打石(ひうちいし)


そう!火打石だったらイケるんじゃね?と。オレは周囲に火打石になりそうな石を探したが、真っ暗でまったく分からん。そもそも明るくても火打石なんぞ触ったこともなければ、見たこともない。言葉としては知っているが、YouTubeの動画でも敢えて検索したことがない。せいぜい、ばあちゃんが見ていた時代劇に一瞬映ったやつを見たかどうかぐらいだ。


なんとなく、金属を含んだ石ってぐらいの認識だった。金属で火花が散るって考えれば、パッと思い浮かぶのは鉄なんだが、そもそも鉄って鉄鉱石とか砂鉄だろう?砂鉄なら鹿児島のどこだっけか砂浜で見たことあるから分かるが、鉄鉱石なんてどんなんだよ?知らねぇし。


まぁ、なんか普通の石よりは黒いんじゃないかってイメージはあるけどな。どちらにしろこんなに真っ暗じゃあ、それっぽい石を探しようがない。こっちも靴とおんなじで日が昇るまで保留だな。


さて、また暇になったな。


オレはいつの間にか体育座りで座り込んでいた自分に気がつき、おかしくて思わず笑い出してしまった。


「ハッハッハッ。なんで体育座りなんだよ。」


だがそんな笑いもすぐに(おさ)まった。冷静になればそれほど面白くもなかったからだ。ただ、自分が少し滑稽(こっけい)なぐらい。


「はぁー、何やってんだろうな、オレ。・・・せめて、こう魔法とか使えりゃあ、まだ楽しいんだけどな。」


オレは体育座りのまま夜空を見上げた。相も変わらず、馬鹿デカイ、スーパーレッドムーン。そのせいか、まったく明るくない森の中。うん、もう()そう、考えるの。考えたら(へこ)むわ。


オレは気合いづけに両頬をパチンパチンと叩くと、再び立ち上がった。寝ることが許されない今、ま、寝てもいいんだろうけど、寝たら死ぬかもしれないしな、日が昇るまでどうにか過ごさなければならない。オレの性分(しょうぶん)からじぃっとしているなんて耐えられない。


運送会社に就職した時だって、じぃっとしているのが嫌で事務方(じむかた)じゃあなくて、現場を希望したほどだ。運動神経が悪い割には、動き回ることが好きなんだ。


さっきの火織(ひおこ)し作業が、オレの体内時計の感覚で言えば、だいたい3時間ほどは(つぶ)せたと思う。もしこの世界が、あっちの世界と同じ24時間で、昼と夜もあっちと同じ間隔だとすれば、日の出までもうあと少しじゃないかなとは思う。オレが意識を失っていた時間がどれぐらいかは不明だが、丸一日ってことはさすがにないだろう。


もし丸一日意識を失っていたとすれば、アリやヒルがあの程度で済むはずがない、とは思う。知らんけど。


そういや、時計もどうにかしないといけないな。

【作者より】



【更新履歴】

2021.8.23 Mon. 23:17 初投稿

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